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「ごめん!雷蔵!」
「いいよ〜ところで三郎は?」
「なんか先生に呼ばれてるみたい。委員会なんだって。」
待たなきゃなあ
そう呟いて空を見上げたのは三郎のいとこの雷蔵。私も小さい頃からよく3人で遊んでいたので大切な幼なじみの1人だ。それに、三郎の事の相談が出来る数少ない友達。
「そうそう、12月に毎年街のイベントあるじゃん。クリスマスの。演劇部も出演することになったので、見に来てください!」
「12月?まだ3ヶ月近く先じゃない。もう練習してるんだ」
「練習はまだなんだよね〜。今週中に台本が配られる予定なんだけど」
雷蔵は私と三郎が乗る電車と同じ路線なので、一緒に帰ってる。迷い癖がある雷蔵と途中のカフェに入るとメニュー決めにかなり時間がかかってしまう。誰々と付き合っているという話は聞かないが、気長に雷蔵を待てる人じゃないと上手くいかないだろうなぁ。
「楽しみにしとくよ。三郎にもそう言っといて。」
「ありがと!」
ゴホン、と雷蔵が1つ咳払いをする。
「ところでさ、三郎とは最近どうなの?進展は………無さそうだけど」
サックリと心を抉ってくる雷蔵さん。パないっすっ。
「この前思い知ったんけどさ、絶対女として意識されてないし、ただの幼なじみとしか見られてないと思う……。なんか、後戻り出来ないって感じ」
(三郎、お前もめんどくさやつだよなぁ)
俯いてポツリポツリと話すAについつい言ってしまいそうになるが、ぐっと堪える。
あの、なかなか先に進もうとしない2人の幼なじみのために。
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