【歌い手】Is she loved by…？

十三話。 ページ15

「…単なる憶測だろ、」

いつの間にか志麻さんがいて、そう吐き捨てた。
…やはり、彼女の味方なんだね。

「…そうだよ。憶測だよ、けれどさ。…お前らもそんな映像なんかを信じてる。…何もかも信用できないものばかりなんだよ、この世界って」

志麻さんは言葉を呑み込む。
坂田さんは顔を歪めた。

「な、なるせちゃん、駄目だよ、そういう言い方は…、まふくんをせめることになるから…」

「あ…ごめん、そういうつもりじゃ…」

「ううん、いいんだよ、なるせくん。…気にしてないから」

顔をうつむかせるまふくんは明らかに気にしている。
どうしよう…さらに悪化したかな。

今日はこれ以上話しても溝が深くなるだけ。
誰もがそう思った。

「よし、今日はもう終わりね。各自ペアと部屋に戻って。喧嘩は駄目だよ。…明日、頭を冷やして、当人も混ぜて話をしよう」

そらるさんの冷静な判断に、誰もがうなずき、部屋へと戻った。
私はまふくんとそらるさんなので、まふくんの部屋にお邪魔して…重い沈黙のまま時は過ぎていった。

十四話。→←十二話。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す