長髪男子、拾いました。【場地圭介】 (ページ24)

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「………あ。」

私の声に顔を上げたその人は私の顔を見て、小さく声を出した。
他の人は私と彼がなぜ、顔を見て固まっているのか分からないでいた。

「バジ、もしかして彼女と知り合い？」

「あー、…すっげぇ、昔に？」

「凄い昔？子どもの頃？」

「……うーん、まあそんなトコかな。」

私も私で何故彼が此処にいるのか疑問に思っていた。
だって、彼曰く彼自身、知らない世界にやってきた人間であり、数年前私の目の前で消えてしまった事実が存在する。

取り敢えず、その話は置いといて飲物を頼む事になり、私はお酒を飲む気分にはならず、お茶を頼んだ。

そして、互いに自己紹介をする事になった。

”場地圭介”

名前は変わらず、場地圭介で姿もあの頃から何年か過ぎた姿と想像できた。
彼は今、動物病院で働く獣医さんらしい。

全員の自己紹介も終わり、飲み物も来たところで乾杯をした。
それから、気になる人同士で話すように席替えをした。
私の隣に座ったのは、やはり彼だった。

「…説明しなきゃいけないよな。」

『一体、何がどうなってるのか分からないよ。』

「だよな。…どう説明しようか俺にも分からなくてよ。」

数年前、私と出会った圭介くんは今、私の目の前にいる圭介くんの”前世”に当たる存在らしく、私の前から消えてすぐに、”前世”の記憶が蘇ってきたらしい。

それから、記憶通り今の今まで私を探していたらしく、今回の合コンに参加したのは、私と同じく人数合わせなだけで本気で合コン相手と関わる事は考えてなかった。

そこに探していた私が現れた、と言う事だそうだ。

「提案なんだけどさ、頃合いを見て抜け出さねぇか？」

『え、抜け出すの？』

「どうせ、Aも合コンあんまりキョーミないんだろ？」

『うーん、まあ…圭介くんと再会したから此処にいる意味がなくなっちゃったし…。』

「だろー？」

周りは意外とうまくやっているようで、香奈さんも今話している相手と楽しそうに話していた。

『そういや、圭介くんは今獣医さんなの？』

「資格取るの大変だったけど、昔からの夢だったから頑張ったんだぜ!!!」

そういう圭介くんは私に褒めて褒めて、と言っている大きなワンコにしか見えなかった。
(耳と尻尾が幻覚で見えるし、尻尾はぶんぶん振ってる。)

『やっぱり、圭介くんは動物に関わるお仕事が似合うよ。』

私はぐしゃぐしゃになるくらい圭介くんの頭を撫でた。

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