不良=恐怖とは限らない。【男主】

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『俺にとって、アイリッシュがどんな存在だったか知ってるよな。』

「嗚呼、知っているさ。アイツも詰まらん奴を拾ってきたと思ったさ。」

『…ｯ。』


自分が蔑まれるのは我慢できる。
だが、俺の恩人…父親であるアイリッシュを馬鹿にするのはどうしても許せなくて歯を食いしばった。


『今まで組織の為にと思って耐えていたがもう耐えれねｪ。』


セイフティーを外し、引き金を引こうとした瞬間…


「突撃ー!!!」


と、サツの突入の合図が聞こえた。
その声に引き金を引こうとしていた手が止まった。



ﾊﾟｧﾝ!!!



『ｳﾞｯ…』


突然、左肩に痛みが走った。
ボタボタ、と左肩から血が垂れていく。
気を取られていた瞬間に左肩を撃ち抜かれた。


「余所見はいけねぇな、モヒート。」

『テメｪ…ｯｯ』


ジンはさっさとこの場を離れて行った。
俺もこの場から離れないと見つかってしまう。

未だに血が流れる左肩を押さえながら上へと繋がる階段を上った。



✱



『ハァハァ…、イッテｪ、あの銀髪ロン毛野郎…やりやがった。』


人を躊躇なく殺すアイツにとっては仲間を裏切る事なんて簡単な事だろう。


『………。』


もし、俺がサツに捕まったらどうなるのか定かではない。
犯罪組織にいるのだから、重い刑は避ける事は出来ないだろう。


俺は、ゆっくりと屋上の縁に立つ。
フェンスなど設置されていない此処は絶好の飛び降り場所だ。
風が強く結んでいない髪が靡く。


『此処から飛び降りれば…アイツのとこにいけんかな。』


下では組織の下っ端達がサツと対峙している。
その渦中に俺が飛び降りれば、何か変わるかな…。








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『＿＿＿＿＿＿＿。』
















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俺は一歩、足を踏み込んだ。



もちろん、前に着く足場なんてない。

俺の体は下へと落ちていった。


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