不良=恐怖とは限らない。【男主】

-40- ページ43

✱トレス
✱分かる人、はいそうです。あのシーンです。
.




『今、いくよ…父さん。』


俺は一歩前へ踏み出した。
目を閉じて、重力によって下に落ちていく。





＿＿＿＿＿＿






＿＿＿＿＿＿＿＿








＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ガシッ




『!!?』


誰かに腕を掴まれ、落下する体が空中で止まった。
見上げると、バーボンが俺の右腕を掴んでいた。


「何を馬鹿な事をするんだ!!!君は!!!」

『何って…死を持って償う、だけだ。』


俺は未だに血が止まらない左肩を無理矢理上げ、バーボンの手を離そうとする。
が、それを拒む様にバーボンは力一杯握ってきた。


「君を!!!死なせないｯ!!!!」


力の限界なのかズルズルと、腕が落ちていく。


『手ｪ、離せ…。俺は真っ当に生きてきゃいけねｪ、人をやった。やり直せる筈、ねｪよ…。死なせてくれ…』

「ｯそんなの、これから償えばいい!!!君には時間がある!!!だから、…








…"助けて下さい"と言え!!!!」



『ｯ!!!』



その瞬間、涙腺が緩んだ。


死ぬ覚悟を決めていたのに、バーボンからそう言われたらその決意が無駄になって"生きたい"願望がどんどん溢れてきた。


『＿＿てくれ、……。








助けてくれ…!!!バーボン…ｯ!!!』






情けなくも涙が出て、視界が歪む。
バーボンは俺が出した答えに笑顔で頷いた。


「くそっ、片腕だけじゃ…！」


組織との激戦を超えてきた為、俺を上げるのに苦戦している。


『……バー、ボン……、お、れ……力が…も、う、…』


そういう俺もジンに撃ち抜かれた左肩から血がどんどん垂れて地面に落ちていく。


「モヒート…!!!意識を保ってください…!!!」

『…ごめ、……ん、、』

「A……ｯ!!!!」



バーボンも掴む手の力をなくなってきたその時、バーボンの横から腕が一本伸びてきて、Aの右腕を掴んだ。


「君のやりたい事はこれか？」



太陽の逆光で顔は見れなかったが、その言葉に少々覚えがあった。



『……ラ、イ…？』


ジンと対峙する前、ライ基赤井と対峙していた。
その時にやりたい事があるからと言って見逃して貰った。

だが、やりたかった事はやり遂げる事が出来なかった。


「ジンは死んだ。君を縛るものはいなくなった。…君は自由だ。」

『…！』

「さあ、生きて帰ろう。」

『……ゔんｯ』


バーボンとライは協力して俺を持ち上げた。


-41-へ続く

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