幸せな家族のはなし３ (ページ5)

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和也side

ガチャ

「翔にぃ、こっちから降りる？」

「ん、そうする」

バックドアを開けて、左のスペースに置いた
荷物をみんなが取ったあと、右で席を作って
座っていた翔にぃがそのまま外へ出る。

翔にぃの座ってた席って本来
荷物も置けるスペースだからね。

わざわざ2列目の智にぃや潤の席まで進んで
スライドドアで出るより早いの。

「あ、もう着いてるってさ。
鍵も開けてるから入ってきてって」

「はーい！」

連絡を確認して伝言していく智にぃの声に
手を挙げた雅紀にぃは泊まりの自分の荷物と、
食材が入った袋を抱えて貸別荘へと歩いていく。

いや、今持って行ってくれた袋多過ぎない？

3つくらい持って行ったよ？

なんかあの人、自分の楽しいの限界きたら
すぐにバテそうだな。

まあすぐに回復もするから別にいいけど。

「……あー！和ちゃーん！
ドアが開かないから来てぇー！」

自分の荷物を肩にかけて、小さめの袋を持ってから
さぁ俺も向かおうとしたとき。

貸別荘へと向かったはずの雅紀にぃの声がした。

俺はそれに嫌でも予想出来たことが現実になって
ため息混じりに声の方へと向かって。

そりゃため息も出るよね。

出させてよ、ため息くらい。もうこの際ね。

ってか普通なら気付かない？

気付くよね？

自分がどれくらい持てば手が塞がるとかさ。

あんなに持ってたら当然。

あーこれじゃあドア開けらんないなぁー……って
すぐに気付くよね？

それなのに加減もなく袋持って
俺を呼ぶわけでしょ？

他にも持てる人いるのに舞い上がって
テンションのまま持っちゃったんでしょ？

「和ちゃん早く！重いからこれ！ドア開けて！」

「はいはい。
んも、なんで開けらんないくらい持つのよ」

ガチャ……

「ありがとー！
ほんとだよね～。なぁんで俺ってばこんなに
持ってきちゃったんだろ、あ！中も凄いよ和！」

え。

話の途中なのに家の中に入ってったんすけど。

え。俺の話は終わり？

さすが雅紀にぃ。
楽しいモードに入ったから止まらないってさ。

「……ん？」

え、なんか荷物置いて戻ってきたけど。

「えっ？なんで手繋ぐの？」

「和に早く見て欲しいから！ほらこっち見て！

って、あー！トイレがあるー！うわ広ぉーい！」

えー、確かに凄いけど
そのテンションにはついていけないって。

「あひゃー！見てるだけで楽しぃー！」

……こっわ。