［３］優しさと怪我(三男) ページ23
雅紀side
ガチャ……
「ただーいまー！
ごめん、遅くなったー！」
「あ、雅紀にぃー。おかえり。遅かった、ね……？」
玄関で靴を脱ぎながらリビングの方へ声をかける。
すると我が家の末っ子ちゃんがちょうど2階から
降りていたところで、俺を見つけてお迎え。
けれどそれもすぐあとに俺の姿を
頭からくまなく見て違和感に進む足を止めた。
「えっ……？ はっ？！」
違和感の正体、俺の手元を見つけて
ビックリした顔のままの潤。
俺と手元を交互に見て、
何とか事の状況を把握しようとしている。
「どうしたの？」
「ちょっ、和！ 雅紀にぃが！
ねぇ、智にぃ、翔にぃー！」
ようやく我に返った潤は驚いたまま
リビングから出てきた和を手招き。
それから一目散にリビングへと戻っていった。
それからすぐ和も俺の姿を見てビックリした顔で
「なにそれ？！」と声を上げる。
うん。そういう反応になっても仕方ないよね〜。
病院行ってすぐに帰されたから
まだみんなに言ってないし？
ようやく靴を脱ぎ終えてから
和と一緒にリビングへ入る。
そして。
「あはは〜、やらかしちゃいました！」
分かりやすいように元凶の左手を持ち上げれば
ガッチガチに固められたギプスと包帯。
それを見た智にぃと翔にぃも
驚いた顔で「え？！」っと声を上げた。
それからすぐに智にぃから
片手で持っていたカバンを取り上げられ
翔にぃに椅子へと座らされる。
「ごめんねー、連絡出来なくて！」
何せ店長が慌てて連絡する暇もなく、
携帯も持たずに病院へ連れてかれたのだ。
それで病院から一旦荷物を取りに店に戻って
店長の車で送ってもらって無事帰宅。
夜シフトだったから時刻はもう22時になっていた。
連絡をしていない理由を説明すれば
「それは分かったけど」と
兄弟にはその話はあまり必要なかったみたい。
「それよりさ雅紀？」
「何かなそのギプスは。骨折？」
「ああ違う違う！ 骨折はしてないよ！」
そう。骨折じゃないんだよね。うん。
けど見た目は骨折したみたいだから
ややこしいよね〜、これ。
「あのね、実はね？
今日の仕事中、ちょーっとトラブルがあって
ヒビが入っちゃいましたっ！」
特に悲しむわけじゃないから
ハッキリと言ってみれば兄弟は同じような微妙な顔。
和に至っては「言い方が軽いわ」って
何故か呆れ気味に言われちゃった。笑
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作者名：あやりゅ。 | 作成日時：2019年6月19日 0時
