【第二章 助け合う力】［１］季節の発熱(双子) ページ1
和也side
「潤、大丈夫？」
昼休み。
保健室で横になってる潤へ声をかける。
「ん、大丈夫。
熱だけだし、ボーッとするくらい」
「そっか。
まぁ最近部活、頑張ってたもんね」
おでこに貼られた冷えピタへ潤は
押し付けるように腕を置いて息を吐きだす。
今日は朝から体が重いと言っていた潤。
それでも止めた朝練に顔を出していたから
心配してはいたけど……
昼前の授業が終わるというとき、
机に突っ伏したまま動かない潤に
クラスメイトが声をかけたらしい。
それからそのまますぐ保健室へ。
熱は38度と高めの数字で早退を命じられ
もうじき智にぃが車で迎えに来る。
って言っても運転は智にぃじゃないだろうけど。
だから今は智にぃが迎えにくるまで
心配だから俺が付き添い。
まあそばに椅子を持ってきて、
ボーッと潤を見つめてるくらいだけど。
「なぁ、和」
「……ん？」
小さな潤の声に少し遅れて反応する。
目を合わせれば潤はしんどそうにしながら
少し眉を寄せて目を細めた。
「もしかして、和も体調悪い？」
「え？ 全然元気だけど。
どうしたの急に」
「……なんか
いつもより目がうるうるしてる」
「いや何それ」
ふふっと笑ってやって潤の頭を撫でる。
そしたらいつもなら恥ずかしがるのに
今は何も言わず撫でられてる潤。
ほら。やっぱりキツんじゃん。
全く。
こんなときは人の心配より、
自分の体を大事にしなきゃダメだよ。
「もうすぐで智にぃ来るだろうけど、
寝れるんなら寝といたら？」
「ん。そうする」
俺の言葉に素直に従って
目をつぶる潤。
きっとここ最近の疲れが溜まってたんだ。
高校に入ってそこそこ強豪の野球部に入ったから
部活の練習メニューは当然ハードだろうし。
その上、家に帰っても
1時間は自主練に費やしてるしね。
そりゃ熱出したって当たり前だよ。
「しっかり休んでね」
それから10分後。
結局潤は寝ちゃって俺は智にぃが
学校へ着いたことを先生に教えてもらってから
保健室をあとに教室へ戻った。
……いつもより少しだけ重い体を動かして。
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作者名：あやりゅ。 | 作成日時：2019年6月19日 0時
