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「僕だけ『ヤビ』っていうのもおかしいから、お二人にもニックネームをつけていいですか?」


「はい」

なんとなく、返事をする。



「宮下さんは、なにか、あだ名とか、あります?」


少年の話の切り出し方や喋り口調から、会話の苦手さが垣間見える。


「昔、『ドロ』って呼ばれてたことがありますけど、それ以外は…」


「『ドロ』?」

俺は初めて、宮下という男に問いを投げかけた。


「…はい、俺の下の名前が『道朗』で、学生の頃、同級生が『どうろう』ってふざけて読んでたのがきっかけで、ほんの一時期だけ、『ドロ』って呼ばれてました。」


「その同級生とは仲が良かったんですか?」

少年が聞く。


「いえ、彼は人気者で、俺はそんなに目立たないタイプだったんで…」

この「ドロ」いう男からも、会話の苦手さが感じられた。


「赤川さんは?」


「俺は…ないですね、赤川、とかかな?あ、でも、たまにですけど、「赤ちゃん」って呼んできますよ、仲のいいやつが。」


「そのまんまですね」

少年がはにかんで言うと、


「じゃあ『アカ』でいいんじゃないですか?」


「ドロ」がそう提案した。




それから、かなり長い時間、3人は雑談をしていた。

俺の人生のうちで、酒を飲みながら人と話すことならいくらでもあったが、「ローズヒップティー」なんて洒落た茶と菓子だけで、こんなに長い時間人と話すのは初めてかもしれない。


「ドロ」は会社員で、根暗なようで面白いことを言う男だ。
目立たないようだがネガティブではなく、ある意味さっぱりしたマイペースな性格だということが感じられた。

「ヤビ」は、ちょっと変わった少年だが、そこまで悪い奴ではない気がする。
もっとも、ここに俺たちを連れてきた理由も、正体すらもまだ分かってはいないが。

続→←続



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川川わらび - 暁さん、コメントありがとうございます!そう言っていただけたのは初めてなので、大変嬉しい思いです。更新ペースはあまり良くないかもしれませんが、気が向いた時にいつでも読んで頂ければと思います! (2020年11月3日 13時) (レス) id: c7e5b74a91 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 是非いつか合作など、一緒にして頂きたいものです。貴方の様な作者様の作品が、有名になられることを願います。頑張って下さい! (2020年11月3日 9時) (レス) id: 8896c28c37 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 私も最近占ツクで書き始めた者なのですけれど、ここまで小説に寄せられている作品を見るのは久しぶりです。これからの活躍を期待して、お気に入り登録と、高評価の方、押させて頂きました。 (2020年11月3日 9時) (レス) id: 8896c28c37 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:川川わらび | 作成日時:2020年10月31日 0時

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