小説・惑星館

続 ページ4

しかし、俺には自信がない。

誘いを受けても、そこで気を使わせているだけなら、いない方がマシなのではないか。
自分も最高潮に楽しめるわけでもなく、相手をそうさせる力もないのに、なぜ行く意味があるのか。

俺は、学生の頃からずっとそんなことを考えていた気がする。
俺といても、楽しい人間などいないのではないか、と。

数年前、音楽雑誌の、俺よりもよほど若いバンドマンのインタビューの見出しが目に入った。

『人に愛されないのも、人に不満があるのも、自分が人を愛していないがゆえである』

その通りだと思った。

俺は恋をしたことがあっただろうか。
もっといえば、家族のことを好きになったことがあっただろうか。

俺は小・中学時代にいじめを受けていたが、周りに対してどう思うかなど、当時は考えても見なかった。
正直、たまに教科書や上履きが水浸しになるのが厄介だと思うくらいだった。

それ以外に関しては無関心で、教科書に油性ペンで悪口を書かれても、読めればいいと思っていた。
どうでも良かったし、彼らの人生が幸せでも不幸せでも、俺には関係ない。

そんな考え方の無口な少年だったのだ。

しかし、高校に進学すると、いじめなど子供のすることだと悟ったのか、周りは自然と静かになっていった。
それでも教室で俺は1人だったけど、気を使って話してくれる人間は大勢いた。

そこで俺は、今のような気を使い合うだけの社会ルールを覚えることになったのかもしれない。

ガガガガい　ドロ編２家族→←ガガガガい　ドロ編１社会ルール

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す