検索窓
今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:3,724 hit

ガガガガい ネコ編2事件 ページ17

昼食の時間になって、僕はいつものように、一人で弁当箱を開けた。

母さんは料理が苦手だが、毎朝早起きして僕の弁当を詰めてくれている。
ほとんどのおかずは冷凍食品だけど、毎日必ず、卵焼きだけは手作りだ。
昨日よりも焦げの部分が少ない気がして、箸で卵焼きをつかんでみる。
その黄色い表面を見つめながら、なんとなく食べる気にはなれなかった。
その見た目が、食欲をそそるものではなかったからではない。
今日は何故かずっと憂鬱で、頭がボーッとしている。

その時突然、ガシャン、と大きな音がした。
いや、ドン、といった、ちょっと重い音だったかもしれない。衝撃から、教室が揺れた気がした。

その直後僕は、持っていた箸と卵焼きが教室の汚い床に落下したことと、誰かが教室の前方の扉あたりで倒れたことを認知した。


「えっ…」


先程までふざけていた山下が見下ろす足元には、長い黒髪が無造作に広がっている。


「ちょ…大丈夫?誰か先生呼んできて」


クラス委員の北崎由美が言った。
そこで、固まったままだった口角を無理やりに上げ、高峯が叫ぶ。


「おいおいおい!このクラスの保健委員誰だよ!早くお姫様抱っこして連れてってやれよー!」


このクラスの保健委員が僕であることを、高峯は知っている。
だから、ああして叫んだのだろう。


「ちょっと、やめなさいよ、こんな時にふざけないで。」


小声で高峯に囁く北崎さんの声が聞こえた。
高峯のせいで、僕の方に視線が集まっている。
何か言わないといけない。


「いやっ、その…」


皆が、僕が何をいうのか待ってる。
こういう時、なんて言えばいいのだろう。
正解は何なのだろう。いや、正解なんてあるのか…

続→←ガガガガい ネコ編1学校生活



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (5 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
設定タグ:オリジナル , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

川川わらび - 暁さん、コメントありがとうございます!そう言っていただけたのは初めてなので、大変嬉しい思いです。更新ペースはあまり良くないかもしれませんが、気が向いた時にいつでも読んで頂ければと思います! (2020年11月3日 13時) (レス) id: c7e5b74a91 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 是非いつか合作など、一緒にして頂きたいものです。貴方の様な作者様の作品が、有名になられることを願います。頑張って下さい! (2020年11月3日 9時) (レス) id: 8896c28c37 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 私も最近占ツクで書き始めた者なのですけれど、ここまで小説に寄せられている作品を見るのは久しぶりです。これからの活躍を期待して、お気に入り登録と、高評価の方、押させて頂きました。 (2020年11月3日 9時) (レス) id: 8896c28c37 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:川川わらび | 作成日時:2020年10月31日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。