ガガガガい プロローグ1 ページ1
眠い。
ひたすらにそう思っていた8月のある朝に、知らぬ男からの電話があった。
「今、深夜の1時ですか?」
彼の奇妙な質問から、会話は始まった。
喉がつぶれたように枯れていて、野太い彼の声に、聞き覚えはなかった。
「いえ、朝の10時ですよ。」
俺は答えた。
「そうですか。それはそうと、ここはどこなのか分からないんですよ。とにかく、あなたが鍵を持っているのなら、今すぐ戸を開けていただきたい。喉がカラカラなのです。」
少し丁寧すぎるとも言える彼の口調には違和感を覚えたが、それ以前に話の内容こそ、俺にとって心当たりのあるものではなかったので、動揺してしまった。
「あなたは今、何をどうされていますか?周りは何がありますか?」
俺は分からないこと全てを聞き返した。
「分からないのです。手首と足首にビニールテープが巻かれていて、身動きが取れない状態にあります。場所のことははっきりとはわからないのですが、おそらく何かの会議室のようです。」
「分かりました。ところで、なぜ僕にその助けを求めたのですか?」
「分かりません。目の前のデスクには携帯電話が置き去りにされていて、突然あなたの方に電話がかかったのです。私は助けを求めるチャンスだと思い、こうして話しています。」
「なるほど。ではひとつ、質問していいですか?」
俺は神妙な気持ちになって聞いた。
「僕のことを、犯人だとは思わないのですか?」
なぜこのような質問をしようと思ったのか、
そして現に発言してしまったのか、
自分でも分からないままでいた。
気づけば数秒沈黙が流れているのみだ。
そして、僕がそれに気づいたそのときに、電話は途絶えた。
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川川わらび - 暁さん、コメントありがとうございます!そう言っていただけたのは初めてなので、大変嬉しい思いです。更新ペースはあまり良くないかもしれませんが、気が向いた時にいつでも読んで頂ければと思います! (2020年11月3日 13時) (レス) id: c7e5b74a91 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 是非いつか合作など、一緒にして頂きたいものです。貴方の様な作者様の作品が、有名になられることを願います。頑張って下さい! (2020年11月3日 9時) (レス) id: 8896c28c37 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 私も最近占ツクで書き始めた者なのですけれど、ここまで小説に寄せられている作品を見るのは久しぶりです。これからの活躍を期待して、お気に入り登録と、高評価の方、押させて頂きました。 (2020年11月3日 9時) (レス) id: 8896c28c37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:川川わらび | 作成日時:2020年10月31日 0時