春霞３【宮地清志】

今を感じる ページ27

ドアの向こうでは・・




福井 「久しぶりだな。元気か？」




福ちゃんたちが笑顔で迎えてくれた。





向かいあう席に・・




こちらを振り返ることなく・・




じっと座っている背中・・




宮地だ＿＿




岡村 「入った入った。せっかくの再会じゃ。今夜は飲むぞ」




とりあえず・・




宮地とは一番離れた所に腰を下ろした。




福井 「じゃあ・・Aとの再会に乾杯っ！」




そんな事を言っても・・




私に話しを振る訳でもなく・・




皆は・・




今までの話しを沢山してくれた。




福井 「でさぁ・・俺は誤解だって言ってんのにエリカが超キレて・・あん時は大変だったわ」




福ちゃんが遠くを見つめながら話しをしてくれている。




エリカ 「あれはホントにごめんって。完璧私の勘違いで・・あはは」




盛り上がる室内・・




久々の皆の話しを聞けて本当に楽しい・・




you 「友香、トイレ行ってくるね」




隣にいた友香にそう耳打ちした私は・・




そっと部屋を出てトイレへ・・




薄暗い廊下の先にあるトイレ・・




女子トイレから出ると・・




男子トイレの入り口に立っている人影を見た。




混んでるんだな・・




顔も上げずにその横を通り過ぎようとしたら・・




ﾀﾞﾝｯ＿＿




行く手を遮るかのように壁に手をついたその人・・




you 「あの・・？」




顔をあげたその先にいたのは・・




you 「みっ・・宮地！？」




宮地だった。




宮地 「スッキリしたか？」




you 「まぁ・・って何言わせるのっ！？」




顔を真っ赤にして答えた私を見て・・




宮地 「・・やっと話せた」




そう言って笑った。




宮地の笑顔を見るのは何年振りだろう・・




こんなことで・・




涙が溢れてくる。




宮地 「ったく・・この前から泣き顔ばっかだな。いい顔見せろ。久しぶりなんだぞ」




そっと・・




私の頬に向かって宮地の手が伸びた。




・・怖かった




宮地に触れるのも・・




宮地が私に触れるのも。




でも・・




宮地 「やっと・・やっと触れられた・・」




そっと私の頬を拭った宮地の指が・・




優しく頬を包んだ。




you 「み・・「何も言うな・・」」




宮地 「今はまだ・・何も言わなくて良い。俺の傍にいろ。そんだけだ」




それから私は・・




片時も宮地の傍を離れる事を許されず・・




時折私の頬を撫でる宮地を見つめては・・




今を感じていた＿＿

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