春霞３【宮地清志】

待ちこがれた人(宮地side） ページ16

俺と竹内さんの事をやいのやいの言いやがったアホの言葉につられて・・




その視線の先を見た俺は・・




全身が痺れていくのが分かった。




俺を見つめていた女・・




不器用に微笑んだその女は・・




俺が何年も・・




何年も待ちこがれた女だった。




宮地 「A・・」




・・相変わらずちっちゃくて




でも・・




すげー綺麗になった。




竹内 「・・宮地君？」




俺の腕に竹内さんが触れた・・




その仕草を見つめていたAは・・




幸せになって良かったと言わんばかりの笑顔・・




涙に濡れた下手な笑顔を俺に見せた。




浅川 「おいっ！天音！どうした？」




すっと・・




俺から視線を移したAは・・




一言二言周りの人間に何かを言った後・・




会場から出て行ってしまった。




宮地 「Aっ！」




追いかけようとした俺の腕を・・




竹内さんがしっかりと掴んだ。




竹内 「試合がもう始まる。この試合がどれだけ大切か分かるよね？」




これからもスポンサーに付いてもらう為に・・




今日がどれだけ大切な日かは分かってる。




これが社会人だ＿＿




宮地 「・・すみません。すぐ準備します」




何で今日なんだ・・




何で今なんだよっ！




・・くそっ




それになんだよあの笑顔は・・




ぜってー勘違いしてんだろ。




・・いや




そんな事はどうでもいいんだ・・




誤解なんて説けばいいだけの事。




それよりももっと大切な事は・・




Aが元に戻って・・




こんなに近くにいてくれた事だ。




あの日見かけたのはAで・・




あの合コンで話題になってたのもAで・・




今俺の目の前にいたのもA・・




今までくすぶってた何かが・・




一気に燃えた気がした。




宮地 「待ってろ・・試合が終わったらぜってー探す！」




ﾓﾌﾞ部員 「宮・・？探すってなんだよ・・ってか、さっきの子一体「わりぃ・・その話は」」




チームメイトの話しを途中で遮って・・




俺は気持ちを落ち着けるために体育館を出て空を見上げた。




そこへ・・




高尾 「あっれー？宮地さん何やってんすか！試合「・・戻ってきたんだ」」




高尾と緑間が試合を見に来た。




緑間 「・・宮地さん？」




宮地 「Aが・・いたんだよ」




そう言って空を見上げていた俺を・・




緑間と高尾は・・




黙ったままじっと見つめていた＿＿

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