違恋 (ページ26)

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短時は切ない気持ちさえページ26

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あのあと、車に乗りこんだ私たちはお互い何も話さずに

深田が好きなバラードの音楽だけが私たちを包み込んだ。

窓の景色を見ていた私の目に涙が溢れていたのに深田は気づいていたのだろうか。

深田との別れをしっかりと実感したのは送り届けられた場所が深田の家じゃなくて私の家だったこと。

「荷物また届けに来るから、じゃあね」

って車の中に戻る深田に抱きつく資格なんて私にはなかった。

知らない間に人を傷つけた。それだけが私の心を取り巻いた。

「Aそれ違うよ、さっきもお客さんからオーダー違うって言われたよ、大丈夫か？」

短いようで長い夏休みを私はぽっかりと空いた穴とともに過ごした。

バイトは深田が時間をずらしたのか被ることがなくなった。

「織山くん、私どうしたら良かったかな？」

そう織山くんの背中に呟いた声は自分にしか届かなかった。

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