違恋 (ページ27)

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Aから返事を聞かなかったのは、

まだAには湧くんに気持ちがあるって思うから、

あとは、俺自身が傷つくのが怖かったから。

結局俺は弱い。自分が傷つくことを恐れて、人の弱みにつけ込んで最後は逃げた。最低だ。

車で泣いていた彼女には気づいていた。

でもどう言葉をかけたらいいのか分かんなかった。

もうAを友達として守る資格も俺にはない。

何が正解か、誰にも分からない。

俺がこの行動をとったことさえも。

Aの家におろした時にAが酷く傷ついた顔をしたことも、車に乗り込んだ時に背中に突き刺さった視線にも。

全部全部、俺は気づいていたのに。

「どうしたらよかったんだよっ、」

自分の家に残った微かに香るAの匂いに涙が止まらなくなった。

玄関を背にしゃがみこんだ自分が酷く醜く思えた。

そして震える指先でインスタの投稿をAと過ごした思い出を一つ一つ消していった。

あの時、抱きしめてくれたらってちょっとだけ期待した俺はずるいかな？？

俺の心には大きな穴がぽっかりと空いた。

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