拾 ページ44
(十七年前。皇弟も同時期に生まれてるのね)
Aの手にはひもで綴じられた書が一冊。
後宮内の出来事をまとめたものである。
高順に頼んで持ってきてもらったものだ。
現帝の東宮時代に生まれた子はひとり、母親は東宮の乳姉弟であり、のちの淑妃である。
子は乳幼児期に死亡し、その後、先帝が崩御し新しく後宮ができるまで子は産まれていない。
(東宮時代の妃は、ずっとひとりだった、と)
意外なことだ、好色親父のことだから東宮時代から妾をたくさん作っていたものと思っていたが。十年以上ひとりの妃と連れ添っていたとは。
やはり、噂や人伝手でなくきちんと書に記したものも必要である。
十七年前。
乳幼児死亡。
立ち会った医官は男児を死なせた罪で追放されている。
当時後宮勤めの医官は___
「医官、羅門、追放」
Aは見覚えのある名前を見つけた。
浮かび上がってきた感情は、驚きではなく納得だった。なんとなく、そんな気がしていたからだ。
後宮に数多く生える薬草は、皆、Aがよく使うものだった。
自然と生えたのではなく、以前、誰かが移植したものだと想像できた。
「なにやってるのよ、とうさん...」
老婆のような足を引きずる男。
Aの薬の師は、片足の膝の骨を抜かれた元宦官であった。
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泉(プロフ) - りこまるさん» 応援ありがとうございます。更新速度はこの先落ちるかと思いますが、温かく見守ってくださるとうれしいです (1月24日 21時) (
レス) id: 81a3c5614f (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - 更新速度神ですね✨応援してます！ (1月24日 17時) (レス) id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉 | 作成日時：2024年1月22日 7時
