青薔薇 壱 ページ6
玉葉妃のお腹に、ぴた、と鈴麗公主が紅葉のような手を当てた。
「まあ、鈴麗、あなたにはわかるのかしら？」
「不思議なものですねえ」
紅娘は微笑んで言う。
＿＿玉葉妃の懐妊は、確かなものになった。
「来月の園遊会、どうしたものかしら」
紅娘がため息をつく。
(春の園遊会)
もう前の園遊会から一年以上たったのか、早いなあとAは紅娘の話を聞いた。
「今よりは暖かくなっていると思うけれど。それでも昼の間ずっと外にいることになるし」
「そうですね、玉葉さまの体調のことを考えると＿＿」
(あ、楼蘭妃)
「楼蘭さまは春の園遊会で初めての公の場に出られることになるんですよね」
紅娘は少し首をかしげて、それからAの言わんとすることが分かったらしくぽんと手を打った。
「そうだわ、楼蘭さまのお披露目のために席を譲る形にすれば、ご懐妊を明かさず欠席できるかも。
玉葉さまにお話ししてご納得いただけたら、壬氏さまに相談するわ」
(さすが有能な侍女頭だわ)
Aは笑顔で頷く。
と、鈴麗公主がAの持ってきた本に近づいたのが見えた。
「ん、公主、本をご覧になりますか」
鈴麗公主が開いている頁には色々な茸の図が載っている。
「これは＿＿
あ、お目が高いですねそれは
そこで、ぱこ、と軽く頭をはたかれる。
「公主の前で毒茸の本なんて読まないで頂戴」
「...はい」
紅娘は手ごわい。
足の怪我のこともあって、毒見のほかは公主の遊び相手が今の主な仕事だ。
意外だと言われることが多いが、Aは子供好きなほうだ。だから、正直楽な仕事でうれしい。
久しぶりの翡翠宮での仕事は穏やかで充実している。
しかし、
(それを破るのがこの男というわけで)
Aは目の前の美しいかんばせを半眼で見た。
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泉(プロフ) - めうさん» ありがとうございます。のんびり更新になりますが、楽しんでいただけると幸いです。 (3月27日 20時) (
レス) id: 9196073726 (このIDを非表示/違反報告)
めう(プロフ) - とっても面白くて一気見してしまいました！続き楽しみにしてます！ (3月22日 21時) (レス) id: 3ab55db304 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉 | 作成日時：2024年2月16日 18時
