猫 壱 ページ46
「せっかく公主が見つけたのに可哀そうだねえ」
「仕方ありません、
手足をばたばたとさせながら紅娘に連れていかれる鈴麗公主を見送りながら、Aはやぶに言った。
(でも、やっぱりおかしいわ)
後宮には愛玩動物の類はほとんどいない。
動物を飼うには許可が必要で、犬猫の場合雌雄を一緒に飼うことはできず、去勢も必要だ。
一体どこで生まれた子猫なのだろう。
目の前で小さく丸まってじっとしている小さな猫を見ながらAは考えるが、やっぱりわからない。
「さ、これで身体を拭いてやってくれ、適温だと思うよ」
やぶはそう言ってお湯で濡らした布巾をAに差し出す。
「なんだか手馴れてますね」
「昔拾ったことがあってね、かわいい三毛だったよ」
「この子も三毛のようですね」
Aは受け取った布で子猫を拭いてやる。ついていた泥が落ちて、本来の毛の色が見えてくる。
「だいぶ痩せてますね、何か乳はありませんか、あと家畜の腸」
「腸！？」
やぶの声が裏返る。
Aは淡々と答えた。
「皿から直接飲めるようになるまで時間がかかりそうですから、腸を使って乳頭の代わりを作ろうかと。
何度か食事に
「ああ、そういうことかい...」
やぶがほっと胸をなでおろす。
...一体何を想像したのだろうか。
「乳と腸だね！」
「お願いします」
(やぶだけど人はいいのよね)
ぱたぱたと医局を飛び出すやぶを見ながら、Aは思う。
汚れた布巾を新しいものに変え、お湯で温めてもう一度身体を拭いてやると、子猫は気持ちよさそうに目をつむって「にゃあ」と鳴いた。
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泉(プロフ) - めうさん» ありがとうございます。のんびり更新になりますが、楽しんでいただけると幸いです。 (3月27日 20時) (
レス) id: 9196073726 (このIDを非表示/違反報告)
めう(プロフ) - とっても面白くて一気見してしまいました！続き楽しみにしてます！ (3月22日 21時) (レス) id: 3ab55db304 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉 | 作成日時：2024年2月16日 18時
