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   弍 ページ45

先頭に公主、次にA、紅娘の順に並んで歩く。


ご機嫌にふんふんと鼻を鳴らしながら、小さな足で地面を踏みしめて歩く公主。思わず頬が緩む。




翡翠宮を出てしばらくたち、竹藪に差し掛かったところで、何かがか細く鳴く音が聞こえた。




みい、と高い音で声を上げている。子猫だろうか。




(こんなところに猫だなんて、珍しいわね)




そう思いながら公主から目を離し、Aは音のした方を見る。





と。





「みゃう!」


「公主!?」



鈴麗公主が鳴き声のする方へといきなり走り出した。



「公主!」



「紅娘さま、ここは私が!」




Aはすぐに追いかける。


見失ったらとんでもない、ましてこの先に何か怪しい者がいたりしたら__




公主は小さい体で、建物と竹藪の間を難なく駆けていく。




「公主!」




ようやく竹藪を抜けたAが見たのは、公主と、背の高い誰かの影で。




誰かが、その手を公主の顔に近づける。



Aの心臓が、どくんと嫌な音を立てた。




「公主!!」




何かを考える間もなく、かばうように公主の前に躍り出る。



そして、




「みー...みぃー...なぅー...」




「ありゃ。これ、いらなかった?」





...目の前には、Aと同じくらいの背の女官と、その手に収まるほど小さな子猫。





「...猫」


「みゃう!」




公主ははしゃいで声を上げる。




子猫は女官の左手の中で、ふるふると細かく震えている。





「いるの?この子」





女官がまた尋ねてきた。




「あ...」


Aは懐から手巾を取り出す。




「ありがとうございます」




女官の手から子猫を受け取る。




「みゃうー!!」



公主が触りたそうに手を伸ばすが、何か雑菌がついていてもおかしくはない。
見せるだけにとどめておく。




「その子、おなかすいてるのかも」



いまだ震えている子猫を覗き込みながら、女官が言った。



「あとは任せるね、じゃっ」



持ち場に戻るのだろうか、軽く手を振って走っていく彼女を見送るA。





(背はそこそこ高いけれど、ずいぶん幼い感じの女官ね)






「A!...それは?」


ぱたぱたと追いかけてきた紅娘がAの手元を見ながらそう尋ねる。



Aは首をすくめながら答える。



「猫です」


と。

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(プロフ) - めうさん» ありがとうございます。のんびり更新になりますが、楽しんでいただけると幸いです。 (3月27日 20時) (レス) id: 9196073726 (このIDを非表示/違反報告)
めう(プロフ) - とっても面白くて一気見してしまいました!続き楽しみにしてます! (3月22日 21時) (レス) id: 3ab55db304 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年2月16日 18時

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