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      伍 ページ5

「...それで、あの男の見た目はどうだった」


「均整の取れた肉体でした。
基礎の鍛錬がしっかりしていて無駄がありません。
訓練を欠かせない真面目な方とお見受けしました」


壬氏は険しい顔をやわらげたかと思うと、一度下を向いてからまた向き直って言った。

「お前は体つきを見ればどんな人間かわかるのか?」

「おおよそは、生活習慣は如実に出ますので」

「なら、俺の身体を見ても同じようにわかるか!」


壬氏が少し顔を赤らめて、上着に手をかける。




(な、なんて男だ)


人が李白さまの肉体美をほめたからって、自分の方が美しいと誇示したいなんて__



(そりゃ前に見た壬氏さまの身体は引き締まっていて綺麗だったけれども)



Aはため息をつきながら言う。

「残念ながら、壬氏さまの身体を見ても意味がないと思います」




(肝心な部分がないんだもの、宦官には...
全くの無意味、ではないかもしれないけれど)



小姐は禿や同僚に手を出すこともある、つまり女もいける。
だから宦官のようにもの(・・)がなくてもいけなくはないのだろうが、それでも満足度はやっぱり違うだろう。




壬氏が震えた声で絞り出す。


「それは、どうあっても好みに合わないということか...?」




「はい...

壬氏さまは私の小姐(あね)とは合わないと思います」






「...小姐?」

壬氏があっけにとられた顔をした。



______________









"A


おばばは何かといってくるけど、私はまだまだ現役よ。

いつかどこかの公子(おうじ)さまが迎えに来てくれると信じているもの"




Aは緑青館から届いた文を読んでいた。
白鈴小姐からのものである。



(小姐が望むなら、一万までいかなくても五千くらいで手を打ってくれるかもしれない。
あとは李白さまのがんばり次第ね)





「ん...?」



Aは手紙の続きを読んだ。




"あの人が来て身請けの話をしてたから、それで誰かが勘違いしたのね"






「...本当に、性懲りもない...」





Aは眉を顰めると、大きく息を吐いて窓から星空を眺めた。

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(プロフ) - めうさん» ありがとうございます。のんびり更新になりますが、楽しんでいただけると幸いです。 (3月27日 20時) (レス) id: 9196073726 (このIDを非表示/違反報告)
めう(プロフ) - とっても面白くて一気見してしまいました!続き楽しみにしてます! (3月22日 21時) (レス) id: 3ab55db304 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年2月16日 18時

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