陸 ページ22
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ことりと、碁石を置く音がする。
「ら...羅漢どのが負けた！？」
「負けなしの軍師どのが！？」
周りの駒たちがざわざわとどよめく。
「後攻だったとはいえ、こんなこてんぱんにやられるとは...」
「いや、羅漢どのは碁より将棋の方が得意ではあるが...」
「もしや羅漢どの、気に入られようと手心を加えられたのでは？」
ははは、と乾いた笑いさえも耳に入ってはこない。
(確かに、侮っていた)
そしてそれを見抜かれていた。
だからここまで容赦なく鼻っ柱を折られたのだ。
「くっ...くくく...
はははっ、あーっははははは！！」
思わず笑いが込み上げてきた。
「ら、羅漢どの...？」
「はははっ...」
負けたことの悔しさより、その容赦のなさが清々しかった。
こんな仕打ちをする女は、
どんな顔をしているのだろう____
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「王手です」
その凛として澄んだ声に羅漢は顔を上げる。
将棋盤には、明らかに負けの譜ができていた。
「ん、ああ、私の負けだね...」
「お情けで勝たせていただいても、勝ちは勝ちです。
飲んでいただきますよ」
「もちろん、毒になるかもしれないものを、君に飲ませるわけにはいかないからね」
さしだされた杯を受け取る。
「入れた薬というのは味がついているのかい？」
「塩味が強いのですぐにわかるかと」
「なるほど、わかった」
ぐいっと杯を傾ける。
ふむ、
「...しょっぱいな」
あまじょっぱい、濃い味の酒を飲み干し、羅漢は頷いた。
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泉(プロフ) - めうさん» ありがとうございます。のんびり更新になりますが、楽しんでいただけると幸いです。 (3月27日 20時) (
レス) id: 9196073726 (このIDを非表示/違反報告)
めう(プロフ) - とっても面白くて一気見してしまいました！続き楽しみにしてます！ (3月22日 21時) (レス) id: 3ab55db304 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉 | 作成日時：2024年2月16日 18時
