肆 ページ20
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____私には昔から人の顔の区別というものがつかなかった。
母と乳母を間違えるどころか、男女の別すらわからなかった。
父は"こんなことでは出世は望めない"と私を見限った。
だが、ただ一人叔父貴は根気強く人を体格や声で見分けること、将棋の駒に見立てて覚えることを教えてくれた。
やがて、その叔父貴の顔は
「___王手」
「私の負けですね、杯を選んでください」
.....では、
「これを」
「...薬屋、どうなんだ、その杯は。毒入りか?」
「それは秘密です、言ったら面白くないでしょう?
...さあ、もう一戦。」
「_____....」
___名家の息子という立場と、将棋が得意なことが幸いした。
兵士たちをそれぞれ駒に見立ててればいい。
どうせ、私の眼には駒にしか映らないのだから。
現実の戦も、盤上の遊戯と同じ___...
"ご存じですか、羅漢どの。
緑青館という妓楼に囲碁将棋の得意な妓女がいるそうなんですよ"
"はあ...."
"どうです、今宵一勝負されてみては?"
(___妓楼なんて行っても仕方ない、どうせ身なりだけ飾った白い碁石が並んでいるだけだろう)
"どうもその妓女、頭はよいが変わり者のようで__"
"負けなしの羅漢どのと笑わずの妓女の対決とは見ものですな"
(井の中の蛙、か)
どれだけ強いと言っても、
そう思って、勝負をしに行った。
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泉(プロフ) - めうさん» ありがとうございます。のんびり更新になりますが、楽しんでいただけると幸いです。 (3月27日 20時) (レス) id: 9196073726 (このIDを非表示/違反報告)
めう(プロフ) - とっても面白くて一気見してしまいました!続き楽しみにしてます! (3月22日 21時) (レス) id: 3ab55db304 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泉 | 作成日時:2024年2月16日 18時