拾 ページ15
「...ん、」
「A、起きた？」
桜花の顔が見える。
Aは横になったまま首だけ動かして周りを見る。
どうやら桜花に膝枕をしてもらっていたようだ。
「ええ、...あの、ここは」
「休憩所よ。A、若い武官におぶわれてきたのよ、覚えてない？」
(寝落ちしちゃったもの)
Aは首を横に振る。
「そう、...まだ寝てなさい、全然寝てないんだって？」
「でも、だいぶ良くなりました」
やはり少し寝るのとまったく寝ないのとでは違う。
現に、今ちゃんと受け答えをすることができている。
「だめよ、あの武官もすごく心配してたわよ」
(馬閃さまが？)
Aは目を丸くする。
「ねえA、あなたもう水晶宮に行っちゃだめよ。
いっつもやつれ果てて帰ってくるんだから」
桜花がAの頭をなでながらそう言う。
(水晶宮に行く時はたまたま重労働の時だからなあ)
でも、まだ一つやることは残っている。
「薬屋」
麗しい声がする。
「あ、壬氏さま、もう献上されたのですか」
Aは体を起こして立ち上がる。
「ああ、ご満足いただけたようだ。
それよりお前、大丈夫か？
もう少し休んでいた方がいいんじゃないのか」
浮かない表情でこちらを見てくる。
「今桜花さんに少し寝かせてもらっていたので、少し良くなりました。
...桜花さん？」
Aは桜花がいたところを振り返って、素っ頓狂な声を上げた。
いつのまにかいなくなっている。
野次馬根性の翡翠宮三人娘だが、さすがに一人でそれをするのはちときついのだろうか。
「さっき走って行ったぞ、他の侍女たちのところへ行くんじゃないか。
それより、どうやってあんな色とりどりの花を？
だってあれは、全部白い薔薇だったはずだ」
壬氏が問う。
Aは何度かぱちぱちと瞬きをして、口を開いた。
「____染めたんですよ、内側から」
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泉(プロフ) - めうさん» ありがとうございます。のんびり更新になりますが、楽しんでいただけると幸いです。 (3月27日 20時) (
レス) id: 9196073726 (このIDを非表示/違反報告)
めう(プロフ) - とっても面白くて一気見してしまいました！続き楽しみにしてます！ (3月22日 21時) (レス) id: 3ab55db304 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉 | 作成日時：2024年2月16日 18時
