捌 ページ13
「お前、いくら上司に頼まれたからって、自分の身体は大切にしろ。
二徹なんて、本当にいつ倒れてもおかしくないぞ」
特に
Aはぼうっとした頭で聞く。
そんなこと、自分でもわかっている。
でも、熱中すると周りが見えなくなる
いつもは
その目を見てはっと我に返る馬閃。
「すまん、今は何も聞かずにまずは寝ろ」
「.........はい、そうします...」
「お前足はもう治ったのか？」
「........いえ、まだ」
だんだんと返答にもしばらく時間を要すようになった。
本当に頭が回らない。
馬閃は頭をかいてひとつため息をついた。
「そんなやつに歩かせるわけにはいかないだろ、ほら、乗れ」
「...？」
馬閃がしゃがみ込んでAに背を向ける。
ここは人通りが多い場所だけに、座り込んでいる馬閃は余計に目立つ。
それなのに、そんなことは気にも留めない様子で。
Aは特に何も考えずその背中に身をゆだねた。
そして、
「....わっ」
馬閃が立ち上がった。
Aは思わず馬閃の首に手をまわし、捕まった。
「す、すみません」
「いい、喋るな、舌をかむぞ」
言葉遣いはそっけなくて、丁寧ではなくて、どちらかというと乱暴ともとれる話し方なのに。
Aの足を支える手つきはいたわるように優しくて。
一か月分の疲労が一気に襲い掛かってきて、Aは馬閃の揺れる背中の上で眠りへと落ちていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 324人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
泉(プロフ) - めうさん» ありがとうございます。のんびり更新になりますが、楽しんでいただけると幸いです。 (3月27日 20時) (
レス) id: 9196073726 (このIDを非表示/違反報告)
めう(プロフ) - とっても面白くて一気見してしまいました！続き楽しみにしてます！ (3月22日 21時) (レス) id: 3ab55db304 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：泉 | 作成日時：2024年2月16日 18時
