弐 ページ2
「ご安心ください、これは非常に稀有な例です。
その妓女は店に入ったばっかりで、これから何年も稼ぐはずだったので、
それを買い取ったためにこれほど値がはっただけです」
最初こそ、Aもそれほどの大金を出した壬氏に遠慮というものがあった。
だが、この借りは祭祀で壬氏を助けたことで少なくとも半分くらいは返していると思っている。
もっとも、牛黄をもらう約束をしているので、
「そ、そうか、なら安心した」
ほっと胸をなでおろす李白。
二千万...とつぶやくところを見ると、まだその金額の実感がわかないのかもしれない。
「では白鈴はどのくらいかかると思う？」
(白鈴小姐だとどのくらいかな)
まだまだ精力・美貌ともに衰えず、舞踏にも磨きをかける白鈴小姐だが、実は三美姫の中で最年長だ。
今でこそ客を選べる大店になった緑青館だが、一時傾きかけた時期がある。
そのころ屋台骨となって支えていたのが彼女だ。
借金などとうになく、着物も飾りも自分の稼ぎで賄っている。
店としては、いつまでも三美姫にばかり頼っているわけにもいかない。
新陳代謝を促さなければいずれ立ちいかなくなると婆もわかっている。
(引退させて店を任せる考えもあるらしいけれど)
いまのところ白鈴小姐の主だった馴染みは二人。
交易商の
今ならどちらかが身請けを持ち掛ければ婆は応じるだろうが、それで白鈴小姐が満足するだろうか。
「李白さま、お給金は年にいくらほどもらっていますか」
「な、なんだいきなり」
「八百くらいですか」
「ふ、ふん、甘く見るなよ...」
「では千二百くらい？」
そう尋ねると、李白がむう、と黙り込む。
間を取って千くらいということにしておこう。
白鈴小姐は茶だけでも百、一晩過ごすとなると三百はくだらない。
そうすると大体、
「即金で一万くらいですかね」
「いっ...！！」
李白が衝撃を受けた顔をしている。
なんだろう、既視感がある。
「お、俺の稼ぎ十年分じゃないか！
出世払いは？」
「利きませんね」
「なんだとぅ！？」
おおお...と頭を抱える李白。
忙しい人である。
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泉(プロフ) - めうさん» ありがとうございます。のんびり更新になりますが、楽しんでいただけると幸いです。 (3月27日 20時) (
レス) id: 9196073726 (このIDを非表示/違反報告)
めう(プロフ) - とっても面白くて一気見してしまいました！続き楽しみにしてます！ (3月22日 21時) (レス) id: 3ab55db304 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉 | 作成日時：2024年2月16日 18時
