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身請け作戦 壱 ページ1

Aは走っていた。




翡翠宮に帰ってすぐ、李白から呼び出されたのである。





(きっと翠苓の件だわ)



翠苓は死んだことになっているけれど、まだ関係者を洗っていることだろう。



(李白さまは頭が回る、何かつかんだに違いない)




早く聞かせてほしい、その一心で向かったのに。









「.....嬢ちゃん.....



教えてくれ、妓女の身請けっていくらかかる!?」






「...はい?」





Aを待っていたのは、そんな言葉だった。














身請け、とは、妓女が妓楼に対して負っている借金などを客が肩代わりして支払い、稼業から足を洗わせることである。

当然その額を用意するのは生半可なことではなく、足を洗った妓女は客の妻や愛人となる場合が多い。


つまりこの駄犬...もとい李白さまは、妻に迎えたい妓女がいるということだ。



「妓女の身請け、ですか。なんでまた?」


「だってよう...
この前緑青館に行ったとき、聞いちまったんだ。
やり手婆が折れて、身請け話に応じた、ってな。
しかも三美姫のひとりだそうで」


("私ら三妓女の中から誰か売り出す気らしいよ"って梅梅小姐も言っていたけれど)


あの話は本当だったのか。




「白鈴〜〜」


あああ、と頭を抱える李白。




(まあ、気が気じゃないわよね)

Aは首を傾げて李白を見る。




「身請けと言ってもぴんきりですが」

「...とりあえず相場は?」




Aは二本指を立ててびしっと李白につきつける。




「に...じゅうか?」

「二百です」


「農民の一年分の稼ぎだぞ!」

「安い妓女なら祝金・雑費含めずこのくらいですかね」



李白が押し黙る。



「...じゃあ超一品だと?」



たとえば、噂の天女はどのくらいの値段で売れたんだ、と聞いてくる。



Aはもう一回、二本指をびしっと立てる。


「...まさか、安い妓女と同じなのか?」

「いえ、二千__」

「ああ、やはり十倍はするのか、なら白鈴もそのくらいは」

「__万です」



万?

李白の表情が見ていて面白いくらいに固まる。



「...すまない、聞き違えたようだ。どのくらいかかったんだ」

「二千万です」



驚きの声も出せずあんぐり口を開ける李白。

焦点が合っていない。


魂がどこかに飛んで行ってしまったかのようだ。

      弐→



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(プロフ) - めうさん» ありがとうございます。のんびり更新になりますが、楽しんでいただけると幸いです。 (3月27日 20時) (レス) id: 9196073726 (このIDを非表示/違反報告)
めう(プロフ) - とっても面白くて一気見してしまいました!続き楽しみにしてます! (3月22日 21時) (レス) id: 3ab55db304 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2024年2月16日 18時

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