共に負ったいつかの古傷#5【S×J】 (ページ14)

今日:3 hit、昨日:14 hit、合計:19,414 hit

＿＿.162 ページ14

Sside

＿＿＿＿

J「さく、ら、い……」

S「会いたかった。……松本に。
お前に会いたかった。

お前の事が……好きだよ」

切なく離れていった唇から、俺の名を呼ばれる。

そうだよ。

俺は……松本に会いたくて会いたくて仕方がなかった。

あの日仕舞い込んだ思いが弾け飛んだかのようにその気持ちが増してゆく。

あの日心の中にぽっかりと空いた穴を埋められるのは他でもない、松本ただ1人なんだよ。

大学に入ってから今までの間、

業績を残しても、
友達が増えても、
彼女が出来ても、

どこか空虚なもののように感じる部分があった。

……全ては松本がいなかったから。

俺の心を満たしてくれるのは松本しかいなかった。

高校の時の俺がずっとそうだったんだ。

そんな簡単に人は変わらない。

例え物理的な距離が遠くとも。

S「松本はまだ……俺の事が好き？」

俺には何となく自信があった。

松本も俺に会いたかったんだから。

気持ちは、同じだろうと。

J「……そういうの、ずるい」

S「えっ……、ずるい？」

J「せっかく、必死になって櫻井の事忘れようとして離れる事を選んだのに……」

松本は、少し浮かない顔を見せた。

……あれ？あれ？

ここ、感動のシーンじゃ……？

まだ好き、大好きって松本が言って俺が松本を抱きしめて3人がスタンディングオベーションして……

ってあれ？

何だこの流れは。