九十九話「治療と云う名の」 ページ12
「!」
そこで目が覚めた。
これも夢なのだろうか、と思ったが腹部の強烈な痛みで、夢でないことを確認した。
……もう一度自分が見ていた夢を思い出す。
孤児院の院長が目の前で現れたのだ。
つい最近まで忘れていた恐怖が蘇ってきたのを覚えている。
ー化け物に何ができると云うのだ!ー
ーお前如き、その理不尽に飲み込まれて呼吸もす間まもなく死ぬー
夢なのに、あの人の声も抑揚もリアル過ぎた。
地獄に叩き落とされたような気分だ。
「(たしか最後になにか云っていたような__)」
夢なのに忘れることなく頭にとどまるそれをAは逃さなかった。
ー行ってこいー
何故か彼の表情は闇に隠れて見えなかったが、声だけは聞き取れた。
Aは暫く天井を見て黙ったまま、ゆっくりと目を閉じる。
行ってこい、その言葉と過去の記憶が頭をぐるぐると回った。
大きく息を吸い、未だ高鳴った胸を落ち着かせるように深呼吸した。
「(ああ、遣ってやるよ)」
Aの口角が上がる。
化け物と云われようと遣って見せる。
生きる価値がないのなら自分で見つける。
何より__
「(理不尽になんて負けるもんか…!)」
そう思い起き上がろうとすると、なにかが自分を縛り上げていることに気がついた。
そして自分の真上にある大きなライト。
さらに自分の腹が貫かれ、大きな穴が空いているこの事実。
物凄いデジャブ感があった。
ガチャ
「おお、ようやく目が覚めたかい」
恐る恐るドアのほうを見る。
そこには探偵社専属医・与謝野晶子の姿が_。
ここまでくれば、もう云うまでもなく次の展開を予想できるだろう。
彼女は愛用の鉈をもってこういった。
「さァ、治療の時間だよ!」
また、時を同じくして国木田と谷崎も話し合っていた。
谷崎は敦が拐われた情報を伝えている真っ最中だった。
曰く、白昼の路上で襲われてトラックに押し込まれ、そのあとは行方知れずらしい。
「連中は独自の密輸ルートを無数に持」
「ぎゃあぁぁあああぁぁあ!!!」
「え?」
「た、谷崎…因みにAは…」
「Aちゃんは芥川との対戦時に負傷したため、与謝野先生に治療しても」
「ちょ、ストップ、まっ、痛ッ、うあああああああ!!!」
探偵社にAの絶叫が響き渡る。
流石のAも二度目の治療(という名の解体)には耐えられなかったようだ。
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+アリス+(プロフ) - かにかまさん» 塩対応能力(笑)ですね。妹ちゃんは太宰さんを塩対応すればするほど良いと(個人的に)思ってるので(寧ろ敦くんには天使スマイル向けてほしいです) (2018年10月24日 19時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 塩対応能力w (2018年10月23日 20時) (レス) id: 723d39c3a6 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 紅華さん» すみません間違えていました。誤字の指摘、本当にありがとうございます。申し訳ありませんでした (2018年9月30日 23時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - あの公開ではなくて後悔ではないのですか? (2018年9月30日 23時) (レス) id: 1bdfb279a8 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 緑谷みとかさん» はい、では早速紹介させていただきます! (2018年8月14日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年7月18日 20時