八十六話「心の叫び」 ページ41
『それを押したのか鏡花』
無機質な声。
どこかで聞いたことあるようなその声から紡がれるものは正気を問うほどのものものだった。
『解除など不要。乗客を道連れにし、マフィアへの畏怖を俗衆に示せ』
_あと少しで爆発_
_この子は助からない?_
_ハサミで爆弾を切れば_
_でも時間が_
自分でも驚くほどの回転速度で解決策を考えた。
でも体は勝手に動いていた。
「爆弾を外すんだ!」
「お兄ちゃん私ハサミ持ってる!」
何とか爆弾をはずそうと、二人は少女の爆弾を引っ張る。
どうにかしてこの子を助けたい。
二人はその一心で爆弾に食らいついた。
「もう間に合わない」
少女は二人を押し退け、車両のドアに向かう。
そして敦は漸く気づく。
少女は異能を操れないことを。
_思いがあるなら…言葉にしないと伝わらないよ?_
少女の頭にAの言葉が浮かんだ。
少女は掴もうとする。
本当の自分を__
「私の名は鏡花。35人殺した」
少女は叫ぶ。
「もうこれ以上、一人だって殺したくない」
その言葉は少女の本心…いや、鏡花の本心そのものだった。
そして鏡花は飛び降りる。
このまま自分を犠牲にしようとして。
「させない」
Aの喉から言葉が零れる。
すると体が勝手に動いた。
ダンッ
足を勢いよく踏み締め、列車から飛ぶ。
異能を使って自分の体を持ち上げる。
行き先は飛び降りる少女へ__。
「(もしも)」
Aはどこかで考えていた。
スローモーションのように動きがゆっくりとなる世界で。
「(もしも私がこの乗客全員と
_
鏡花の服を掴む。
「(私は)」
爆弾を掴もうとする。
「(生きていてもいいということにはならないだろうか?)」
ありったけの力を込めて爆弾を引っ張る。
時間がない。でも爆弾が固くて外れない。
やっぱりダメなんだろうか。
あんなこと云っておいて…私は…
「(!)」
白く大きな手が伸びてきた。
隣には自分の兄がいた。
そう、あのあとすぐに敦も列車から飛び出したのだ。
二人で爆弾を剥がす。
爆弾が宙を舞った。
ドガァンッ!
爆弾で3人は吹き飛ばされてしまった。
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+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» ありがとうございます!では早速紹介させていただきます。 (2018年6月24日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» はい!オッケーですよ! (2018年6月24日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。イメ画、拝見させていただきました。汚くないです。むしろ自分の夢主をこんなに可愛く描いてもらえてとても嬉しいです!宜しければ、このイラストを小説の中で紹介したいのですがいいですか? (2018年6月24日 17時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» イメ画描いたんで…汚くて申し訳ない (2018年6月14日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» http://uranai.nosv.org/img/user/data/3/6/7/367184e309c78bafdccbd390e66ab0c5.jpeg (2018年6月14日 17時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年5月21日 17時