六十六話「事件現場と女性の遺体」 ページ19
「「(まさか本当に判らないとは……)」」
乱歩一人を電車に乗せるのにかなりの労力を使った敦とA。
ヘトヘトになりながら事件現場に向かう。
当の本人である乱歩は呑気に歩いているだけ。
本当にこの人が探偵社の誇り?と思った。
「遅いぞ探偵社!」
「ん、きみ誰?安井さんは?」
「俺は箕浦。安井の後任だ」
乱歩達を腕くみして待っていたのは、箕浦と云う男だった。
いかにも刑事ドラマに出てきそうな茶色い外套に身を包み、気の強そうな印象を醸し出していた。
「本件はうちの課が仕切る。
貴様ら探偵社は不要だ」
「莫迦だなあ。この世の難事件はすべからく名探偵の仕切りに決まっているだろう?」
乱歩が何云ってるの?と云うような態度をとる。
そんな乱歩に箕浦はフンと顔をふった。
「抹香臭い探偵社など頼るものか」
「何で」
だが無神経が服を着たような性格である乱歩はそんなこと気にもせず話していた。
疲れて背を曲げている敦。
そんな敦を心配しながらも、乱歩たちの会話に耳を傾けるA。
箕浦の暗い雰囲気から発せられた言葉は彼のプライドを表していた。
「殺されたのが__俺の部下だからだ」
遺体にかけられてあったブルーシートがめくられる。
そこからは女性の姿が見えた。
遺体は水に濡れて乱れており、左腕には高価な腕時計がつけられていた。。
「今朝川を流れているところを発見されました」
「………ご婦人か」
乱歩は帽子をとり、遺体と向き合う。
人としての礼儀はわきまえているようだ。
一方初めて遺体を見る敦は口に手をあて、Aは真剣な表情で遺体に手を合わせていた。
少女の目は真っ直ぐに遺体を見つめ、吸い込まれるほどに美しかった。
「胸部を銃で三発。それ以外は不明だ。
殺害現場も時刻も弾丸すら貫通しているため発見できていない」
「で、犯人は?」
「判らん。職場での様子を見る限り、特定の交際相手もいないようだ」
乱歩は次々に質問を云う。
だが箕浦からは「判らない」と云う返事ばかりだった。
そんな箕浦に乱歩が口を開く。
「それ……何も判ってないって云わない?」
呆れたように乱歩が云いはなった。
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+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» ありがとうございます!では早速紹介させていただきます。 (2018年6月24日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» はい!オッケーですよ! (2018年6月24日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - 霧瑠乃さん» 返信が遅くなってしまい申し訳ありません。イメ画、拝見させていただきました。汚くないです。むしろ自分の夢主をこんなに可愛く描いてもらえてとても嬉しいです!宜しければ、このイラストを小説の中で紹介したいのですがいいですか? (2018年6月24日 17時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» イメ画描いたんで…汚くて申し訳ない (2018年6月14日 18時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
霧瑠乃(プロフ) - +アリス+さん» http://uranai.nosv.org/img/user/data/3/6/7/367184e309c78bafdccbd390e66ab0c5.jpeg (2018年6月14日 17時) (レス) id: 243261d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+アリス+ | 作成日時:2018年5月21日 17時