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九話「虎探しを手伝います」 ページ10

「はああああああ!?」


「いいいいいい嫌ですよ!!」


「「それってつまり『餌』じゃないですか!!」」


「あ、ハモッた。君たちやっぱ似てるね」


「「そうじゃなくて!!!」」





「報酬出るよ」太宰さんのその一言に敦の目がギラッと光る。
お兄ちゃん!?ダメだよ!?
確かに私たち今無一文だけど!!?





「国木田君は社に戻ってこの紙を社長に」


「おい、本当に三人で捕まえる気か?まずは情報の裏を取って」


「いいから」





……そのときの太宰の顔は、
まるでこれから起こることを全て察知しているような、
不思議な表情をしていた。
色々掴めない、なんなのだこの人は。






「ち、ちなみに報酬はいかほど?」


「お兄ちゃん!?ダメだからね!?」






行っちゃうと正体的にも、精神的にも危ないから!
だが、そんな私をお構いなしに太宰さんはゼロがたくさん書いてある紙を見せてくれた。
太宰さん曰く、その時の私たちの驚いた表情は本当にそっくりだったらしい。




ーーーーーー

ーーー



……で



結局Aたちは虎探しを手伝うことになった。
今は大きな倉庫の中にいる。
太宰は呑気に読書なんかしてる。
『完全ジサツ読本』って、明らかにヤバそう。






「本当にここに現れるんですか?」


「本当だよ」






ページを捲り、見えてるのかも判らない本を読みながら太宰はそう答えた。





「心配いらない、虎が現れても私の敵じゃないよ。
こうみえても『武装探偵社』の一隅だ。」


「はは、凄いですね、自身のある人は。
僕なんか孤児院でもずっと「駄目な奴」って云われてて
…そのうえ今日の寝床も明日の食い扶持も知れない身で」



「お兄ちゃん……」






私はお兄ちゃんの隣に座って名前を呼ぶことしかできなかった。
……だが






「こんな奴が」


「でりゃっ」


「痛ァッ!?ちょ、何すんのさ!A!」


「お兄ちゃんの頭にチョップした」


「真顔で云わないで!?」






お兄ちゃんの暗いところを明るくすることはできるかもしれない。






「くよくしない!!もう孤児院とはお別れしたんだから、ね」


「う、うん」





心配しないで。の意味をこめてAは敦に笑顔を見せる。
これが彼女に今できる精一杯だろう。






「ふふ。Aちゃんはお兄ちゃん想いなんだねえ」


「べ、別にそういうわけでは…」


「顔が赤いよ。もしかしてツンデレなのかな?」


「断じて違う!!」

十話「届かぬ声」→←八話「バケモノ兄弟」



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設定タグ:文スト , 中島敦 ,   
作品ジャンル:アニメ
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+アリス+(プロフ) - 野良神さん» 誤字の指摘ありがとうございます。すぐに直しますね。 (2018年12月24日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - 13ページの異能力が維能力になってますよ! (2018年12月24日 9時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» 判りました。こちらの不具合かもしれないので直してみます。この作品を見てくださりありがとうございます (2018年10月13日 21時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
issu(プロフ) - はい! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9f68ff9d03 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» イメ画は設定のところにあるもののことでしょうか? (2018年10月12日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ x他1人 | 作成日時:2018年4月6日 17時

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