検索窓
今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:240,184 hit

四十一話「化けの皮」 ページ42

「異能力『光と風と夢』__『文字禍』」









Aの周りには黒い靄が漂い、兄と同じアメジストの目は、まるで血を塗ったかのように赤く染まる。
そしていつもニコニコした彼女からは考えられない、尋常じゃないくらいの殺気が漂っていた。







ーそれに彼女は『赤い目』ではありませんしー








数時間前の樋口はそんなことを云っていた。
でも今となっては彼女は資料通りの赤い目の少女になっている。








「お兄ちゃんに手を出すな」


「ついに化けの皮を剥いだか、死神」


「五月蝿い。貴方は大事な人達を傷つけた。もう許さない」









Aは手を振りかざす。
それは昨日、虎化した敦にしたような素振りだった。
少女の降った手から風が生み出され、強風が路地裏のなかを走る。
そして次の瞬間、芥川と樋口に異変が起こる。







「ぐッ………ぁッ!」


「あ、頭がッ……痛い……!」








芥川と樋口の頭に激痛が走る。








「私の異能力『光と風と夢』は風を生み出し操ることができる」








冷たい声音を銃器のように向けAは話す。







「そして『文字禍』の状態になると私が敵と判断した相手が
私の風に触れることでダメージを与えることができる」









少女は淡々と言葉を紡ぐ。









「そしてダメージをくらうのは肉体ではなく『脳』。
そして私は四年前にこの異能が制御できずあの事件を起こした」


「A……何を云って……」


「ごめんなさいお兄ちゃん。ずっと隠してきて……」


「そんなことよりも……!」









敦はAの云っていることがさっぱり判らなかった。
それもそのはずだ。
なんせAがずっと隠してきたことなのだから。
そしてAはもう一度ビンタをするかのように手を振る。
それに気づいた芥川は羅生門を出した。








「……無駄」


「何ッ!?」






Aはニヤリと笑う。
羅生門が空間を喰らった瞬間、突然倒れた。








「黒獣だって脳はある。云いましたよね?『触れたものにダメージを与える』って。
喰らうも一緒です」


「攻撃が通用しない、か……なら此方はどうだ?」









芥川の言葉の意味に気づく。
でももう遅かった。

四十二話「呪われた兄弟」→←四十話「羅生門と死神」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (93 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
198人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中島敦 ,   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

+アリス+(プロフ) - 野良神さん» 誤字の指摘ありがとうございます。すぐに直しますね。 (2018年12月24日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - 13ページの異能力が維能力になってますよ! (2018年12月24日 9時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» 判りました。こちらの不具合かもしれないので直してみます。この作品を見てくださりありがとうございます (2018年10月13日 21時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
issu(プロフ) - はい! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9f68ff9d03 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» イメ画は設定のところにあるもののことでしょうか? (2018年10月12日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:+アリス+ x他1人 | 作成日時:2018年4月6日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。