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三十九話「ゲシュタルト崩壊」 ページ40

「そこな小娘と同じく、卑しくポートマフィアの狗」






もしかしたら今、絶体絶命なのかもしれない。
否、絶体絶命『なのだ』。








「芥川先輩!ご自愛を!此処は私一人でも」








芥川が樋口さんの頬を叩く。
味方ではないのか?








「人虎は生け捕り、死神は誘拐との命の筈。
片橋から撃ち殺してどうする。役立たずめ」


「済みません」


「…………どういうこと?」


「もとより僕らの目的は貴様らなのだ。人虎、死神。」








目的は私とお兄ちゃん?
人虎に死神?
生け捕りに誘拐?
……密輸業者の証拠探しは真っ赤な嘘、と云うことなのか。
でも、ならなんで…







「どうして関係の無い谷崎さんにナオミさんが殺されなきゃならないの?」


「簡単なこと。そこに転がるお仲間は、言わば貴様らの巻き添え」


「私の……せい……?」


「そうだ」








私のせいで皆が?
座り込んだまま動けなくなる。
私のせい。私のせい。私のせい。
そんな言葉が頭のなかを走り回る。








「Aが……死神?」


「そうだ人虎。お前の妹は四年前の『ヨコハマ市民大量脳死事件』の犯人だ」


「やめて!!それ以上云わないで!」


「A……?」







自分でもビックリするくらいの大声をあげる。
思い出したくない。あの感覚も感情も。
それと目を会わせたら最後、私は自分を制御できなくなるから。
認めたくないけど、事実なのだ。








「貴様の異能は危険だ。一度手を間違えれば凶器にもなりうる」


「私は凶器なんかじゃない!!」


「いいや違う。貴様は六年前、自分の異能が制御できず暴走したせいであの事件を起こした」








お兄ちゃんが私の肩を掴み、必死になだめる。
ハッと我にかえった。







「それが貴様らの業だ、人虎、死神。
貴様らは生きているだけで周囲の人間を損なうのだ。
自分でも薄々気が付いているのだろう?」







『羅生門』
芥川がそう言った途端、外套から黒い獣が現れた。
もう足がすくんで動けなかった。

四十話「羅生門と死神」→←三十八話「希望と絶望」



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作品ジャンル:アニメ
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+アリス+(プロフ) - 野良神さん» 誤字の指摘ありがとうございます。すぐに直しますね。 (2018年12月24日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - 13ページの異能力が維能力になってますよ! (2018年12月24日 9時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» 判りました。こちらの不具合かもしれないので直してみます。この作品を見てくださりありがとうございます (2018年10月13日 21時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
issu(プロフ) - はい! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9f68ff9d03 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» イメ画は設定のところにあるもののことでしょうか? (2018年10月12日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:+アリス+ x他1人 | 作成日時:2018年4月6日 17時

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