三十四話「只今移動中」 ページ35
「そういえば、敦君達は先刻国木田さんに何て云われたの?」
谷崎さんが歩いている途中に聞いてきた。
私たちは今、密輸業者がいるらしい裏路地に向かっている。
先頭に樋口さん、谷崎さんにナオミさん、一番後ろにお兄ちゃんと私の順である
因みに、先刻までナオミさんに捕まって身だしなみを整えられていた私だが、
谷崎さんが「そろそろ時間だし、行きましょうか」と云って止めてくれた。
はっきり云って助かった。
「(あれは、ある意味疲れた…)」
癖っ毛がなおらないと知ったナオミさんは今度は髪ゴムを取りだし、ツインテールやら編み込みやらポニーテールなど、軽く着せかえ人形になっていた。
あのまま行ったら、多分本格的に着せ替え人形になっていた。
ナオミさん曰く、「妹ができたみたいですわ」と、意外と楽しかったらしいけど……
「ポートマフィアの芥川って云う人についてです。
遭ったら逃げろ、とか探偵社でも手に負えない、とか……」
「アハハ、それは脅されましたねェ」
「笑い事じゃないですよう」
お兄ちゃんのヘタレが発動した。
流石お兄ちゃん、でもそんなこと云っている私も内心少し怖い。
死ぬのは嫌だ。
ましてや十四の若さで死ぬなんてまっぴら御免だ。
「凶悪なマフィアとか直に死ぬぞとか……途んでもない処に入っちゃった」
「でも入るっていったのはお兄ちゃんだよ?」
「もとはと云えばAが………!」
「まァまァ、ボクでも続けられてるくらいだから大丈夫ですッて」
谷崎さんがその場をなだめてくれる。
谷崎さんってお兄ちゃんと同い年らしいけど……うちのとは偉い違いだ。
「でも谷崎さんも『能力者』なのでしょう?どんな力なんです?」
「確かに気になる!どんなのですか?」
「あんまり期待しないでくださいよ。
戦闘向きじゃないンですから」
「そうなんですか?多分私の異能力の方がよっぽど戦闘向きじゃないですよ」
私の異能力は攻撃的、と云うかなんと云うか……あんまり使えないんだよなあ。
それに比べたらお兄ちゃんの虎化の方が強いし、
きっと谷崎さんの異能力の方が私なんかよりずっといいんだろうな。
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+アリス+(プロフ) - 野良神さん» 誤字の指摘ありがとうございます。すぐに直しますね。 (2018年12月24日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - 13ページの異能力が維能力になってますよ! (2018年12月24日 9時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» 判りました。こちらの不具合かもしれないので直してみます。この作品を見てくださりありがとうございます (2018年10月13日 21時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
issu(プロフ) - はい! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9f68ff9d03 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» イメ画は設定のところにあるもののことでしょうか? (2018年10月12日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:+アリス+ x他1人 | 作成日時:2018年4月6日 17時