検索窓
今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:240,226 hit

四十四話「救世主」 ページ45

突然現れた太宰さんがお兄ちゃんと芥川に触れる。
青白い光と共に、二人の異能が解けた。







「はいAちゃんも、お疲れ様」






太宰さんは、ポカンとする私に近づき、頭にそっと触れた。
その瞬間、先刻まで体の中にあった『黒いなにか』がスッと消えた。
先程まで体を纏っていた黒い靄のようなものも消えている。








「はぁッ……はぁ……い、今のは一体……」


「樋口、無事なのか」


「な、何とか」









私の異能も解けた。倒れていた樋口さんも立ち上がる。
身体中から力が抜けそうになったが、なんとか堪えてお兄ちゃんのところへ向かう。
死んでいるのかもしれないと思ったが、どうやら異能の使いすぎで気絶したようだった。
良かったぁ、寝ているだけか。






「あ、貴方は探偵社の!何故ここに」







樋口さんは声を出すのもやっとの状態。
そんな樋口さんを横目に太宰さんは服の中から『あるもの』を取り出す。








「美人さんの行動が気になっちゃう質でね、こっそり聞かせて貰ってた」


「な、真逆……盗聴機!?」







ニコニコとした顔で盗聴機を取り出す太宰さん。
行動がストーカーじみていて若干引く。








「(でもいつ仕掛けた?盗聴機を仕込めるとしたら…………あ!)」








この二人が接触していたのはあのとき、太宰さんが樋口さんを心中に誘っていたときだ。
多分その時に盗聴機を仕込んだのだろう。








「では最初から私の計画を見抜いて」


「そゆこと」






驚いた。真逆あんなに最初からだったなんて。
本当にこの人は読めない。
前職といい行動といい、全てが謎に満ちている。









「ほらほら、起きなさい敦君。三人も負ぶって帰るの厭だよ私」


「……う」






何をするのかと思えば、眠っているお兄ちゃんの頬っぺたをぺちぺちと叩いて起こそうとしていた。
否、逆に三人とも負ぶろうとしていたのか?






「お兄ちゃんは私が運ぶので起こさなくても大丈夫ですよ」


「あらそう?」







先刻までの殺伐とした雰囲気が少し和んだ。

四十五話「狙われる理由」→←四十三話「窮鼠猫を噛む」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (93 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
198人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中島敦 ,   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

+アリス+(プロフ) - 野良神さん» 誤字の指摘ありがとうございます。すぐに直しますね。 (2018年12月24日 10時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
野良神(プロフ) - 13ページの異能力が維能力になってますよ! (2018年12月24日 9時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» 判りました。こちらの不具合かもしれないので直してみます。この作品を見てくださりありがとうございます (2018年10月13日 21時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)
issu(プロフ) - はい! (2018年10月12日 22時) (レス) id: 9f68ff9d03 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - issuさん» イメ画は設定のところにあるもののことでしょうか? (2018年10月12日 20時) (レス) id: 87d894de71 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:+アリス+ x他1人 | 作成日時:2018年4月6日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。