十六話【迷子】 ページ17
ー意図的に記憶を消された可能性があるー
まさかそんな都合の良いことがあるだろうか。
否、あり得る。あの少女ならやりかねない。
一人の人間を、虫を潰すかのようにあっさりと殺したのだから。
「……」
沈黙が流れた。
意図的に記憶を消された。
なら自分はどのような人間だったのか。
この
「いいです、後で考えましょう。
今は迷路が先です」
Aが静かな目でそう云った。
今にも崩れそうな弱い目だった。
Aは歩きだし、先頭に立つ。
「記憶が無くなっても、たいして困りませんし」
あえて顔を見せずに呟いた。
その後ろ姿は儚く脆く、敦たちは何も云うことが出来なかった。
「さ、行きましょう」
ーーーーーーーー
ーーーー
大勢の足音が聞こえた。
迷路開始から三十分、進みは順調だ。
「チッ、結局手前らと一緒かよ」
「私も君となんて御免だよ。あ〜最悪最悪。
ねえAちゃんもそう思わない？」
「巻き込まないでください太宰さん」
順調……の筈だ。
今にも喧嘩しそうな二組を置いては。
Aは鏡花に寄りながらすたすたと歩く。
ほら見ろ、敦と芥川何て戦争開始十秒前のような雰囲気を出している。
後ろのピリピリとした空気が痛い。
「泉さん、この人たちはいつもこうなんですか……」
「うん。……あと、鏡花でいい」
「判りました鏡花さん。
……にしてもこの空気はどうにかできないでしょうか……」
「仕方ない」
はあああ、と大きな溜め息をつく。
神経だけがすり減らされている気がしてすごく疲れる。
一言云ってなだめるべきか……。
「あの＿＿」
振り向いたAは目を見開き息を飲む。
驚いて、声がでなかった。
それは隣にいる鏡花も同じだった。
「なんで……」
先程まで一緒にいた筈の四人が忽然と『消えていた』。
人影どころか、温度まで消えたかのように殺風景な壁だけが残っていた。
ついさっきまで一緒にいたはずなのに……。
『チュートリアルだからって甘く見ちゃいけないねえ』
ピエロが面白そうに呟いた。
端末を押す。
次の瞬間壁が回転し、道が変わった。
まるで忍者のからくり屋敷のように。
『遊戯はここからが本番だよ』
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+アリス+(プロフ) - 怪盗MOONさん» ふふふ、どうでしょうか……。此れからのお楽しみです。 (2019年7月21日 12時) (
レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
怪盗MOON - なるほど。道化師は異能力者で、此のデスゲーム、・・・日い、“脱落者ニハ死ヲ与ウル”は道化師の異能と云う事か・・・。(と、云うのが私の推測です。) (2019年7月20日 15時) (レス) id: b5aabf0ca5 (このIDを非表示/違反報告)
+アリス+(プロフ) - あいどんとすぴーくいんぐりっしゅさん» ありがとうございます。惚れていただけるなんて光栄です。更新頑張りますので、楽しみにしていてください(*^^*) (2019年6月6日 19時) (レス) id: 00e250021f (このIDを非表示/違反報告)
あいどんとすぴーくいんぐりっしゅ - え……なにこれ………めっちゃ好きなんですけど！！ヤバい！この小説に惚れる！いやもう惚れてる！更新楽しみにしてます！頑張って下さい！ (2019年6月6日 18時) (レス) id: 7b91c6ec22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：+アリス+ | 作成日時：2019年5月3日 17時
