113 ページ13
「さっき、力尽くでも私を手に入れるとおっしゃっていましたよね？」
僕の隣を歩くAが尋ねる。
Aの気持ちを知ることができた今、強硬手段に出る必要は無くなったからよかったけど。
怖い思いをさせただろうか。
だからって発言を撤回するつもりはないけどね。
「そうだけど、だから何」
「い、いえ！ただ、その…」
そう断言すると、Aは両手をブンブンと振って僕をなだめようとする。
「力尽くじゃなくても、私は自分の意思で恭さんの元にいたいと思ってます。そうでなければ、私は今頃こうしてあなたの隣を歩いていません」
Aは、少し前のことを懐かしんでいるみたいだった。
多分、僕が彼女を本気で殺そうとした時のことを思い出しているんだと思う。
よく考えてみれば、あんな事態が起きた後でもAは僕から離れようとしなかったんだ。僕がAのことを好きだと言ったくらいで今の関係が壊れてしまったら、なんて、悲観的すぎたのかもしれない。
「A」
Aの家の近くまで来たところで、立ち止まった僕はもう一度彼女を抱きしめた。
「は、恥ずかしいです…」
「誰もいないし、暗いから大丈夫」
僕の腕の中でもぞもぞと動くAにそう言うと、観念したのか黙って肩に頭を預けてきた。
さっきAを抱きしめた時、あのヤブ医者が言っていた意味が分かった気がする。
本能のまま、自然と体が動いて彼女の体を抱き寄せていた。今もそう。
僕は、Aがちゃんと自分のものになったってことを確かめたかったんだ。
僕が告白の衝動に駆られたのは、間違いなく嫉妬。僕といる時に考え事をしているAが許せなくて、今までピンと張っていた糸が切れたみたいな感覚だった。
今まで彼女の気を引くことを散々考えてきたけど、似合わないことはするものじゃないと改めて思った。
僕に我慢や忍耐は不必要だ。僕には、力も知恵もあるからね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃ(プロフ) - 夢@雲雀さんのムスッがかわいすぎてヤバイさん» またコメいただけて嬉しいです…！ありがとうございます！完結させたい気持ちは山々なんですが、キャラがもたもたしていてなかなか進ませてくれません…^^;(笑)気ままに書いておりますがまたよろしくお願いします！ (2019年2月1日 11時) (
レス) id: a50c7c36d5 (このIDを非表示/違反報告)
夢@雲雀さんのムスッがかわいすぎてヤバイ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！いつもニヤニヤしながら読ませて頂いております……！夢主ちゃんが自分の気持ちを自覚して、そろそろ完結か……？と、感動を覚えると同時に少し寂しくもありますが、いつも楽しみに待っております！！無理せず更新頑張ってください！！！ (2019年2月1日 0時) (レス) id: be5de4e45a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チャ | 作成日時：2019年1月30日 21時
