【RE!】fame ＃六道骸 (ページ42)

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宣戦布告という言葉と結びついたのは、犬たちとゲーセンで遊んだ日の帰り道に骸に言われたセリフ。

「…いずれまた、私の口からあなたのことが好きだと言わせてみせる」

「よくできました」

オッドアイを細める骸。

この人には過去とか記憶とかそんなものは関係なくて、ただ私という存在を好きだと言っているような、そんな笑み。

やっぱり…この人には私を納得させる力がある。

この青年が微笑みかけている相手は、今ここにいる私なのだと。

ものすごく複雑に捉えていたのは私だけで、骸はもっと単純に考えていたんだ。

彼は単純に、ずっと私のことが好きなんだ。

「いずれまた、ってことは、昔の私は骸が好きだったんだね」

「まぁ、僕の口から言うのも気恥ずかしいですがそうですね」

言葉とは裏腹にまんざらでもない様子。

そっか。なんとなく引っかかっていた謎が解けた。骸にキスされたり抱きしめられたりしても抵抗する気にならないのは、昔の私がこの人のとこを好きだったからなんだ。

なるほどね。

さっき彼に回そうとした腕は、やっぱりそのまま、自分の服を握りしめておくことにする。

いつか、今の私が彼を好きだと思えるようになったら、その時はちゃんとこの背中に手を回そう。

「…そろそろ体をクロームに返します。また会いましょう、A」

私の体を離した骸は、笑っていたけど、なんだか切ない表情をしていた。

彼はいつもどこかへ行ってしまう。それがどこなのか聞きたいとは何度も思ったけど、問いただすのはやめておく。

契約違反だし、それに、聞いても言ってくれないって分かってるから。

「うん…また」

私の言葉と同時に、骸の姿が霧に包まれる。

霧が晴れると彼の姿はなく、眠ったままのクロームが現れた。

その手には、骸が持っていたのと同じ三又槍と、私の貸出カードで借りたイタリア語の本が握られていた。