【RE!】fame ＃六道骸 (ページ32)

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「守ってもらっても、私は何も返せないから」

それだけ言って、私はサラダのトマトを口に放り込んだ。

クロームだけじゃない。犬や千種、骸にも、私を守るなんてことはやめてほしい。

もし誰かが私を守って傷付いてしまったら。

その時私は、どんな顔して助かったらいいの。

「さっさと食べないとパスタ冷めちゃうよ」

「あ、ご、ごめんなさい…」

私が指摘すると、クロームはハッとして再びフォークを回した。

昼食を済ませ、ファミレスを出た私はクロームに連れられて毎度おなじみの黒曜ヘルシーランドへ向かうこととなった(あのうるんだ瞳で見つめられると、どうにも彼女の誘いを断れない)。

聞けば、なんと彼女や他のみんなはあの廃屋に住んでいるらしい。お風呂はもっぱら銭湯だとか。

あんなところによく住めるものだ。加えてクロームは女の子だというのに。

しかし…彼らだけで住んでいるとするならば、彼らに家族は居ないのだろうか。

疑問に思いつつも、そんな深掘りした話をできるような関係でもないし、第一私は友達でもなんでもない。

今の私にとって彼らは、ただの知り合い。

あの住居の不便な点を頭の中で数えながら歩いていると、もうすぐそこに黒曜ヘルシーランドの上部が見えてきた。

建物の最上階にある彼らの溜まり場は相変わらず薄暗く、今が昼間であることを忘れてしまいそうだ。

「どうして私を連れて来たかったの？」

「えっと、それは…」

ここの住人である彼女に尋ねると、なぜか目を泳がせながら服の裾をぎゅっと握った。

その様子は何か後ろめたいことがあるように見えて、私はなかなか理由を言い出さない彼女に、じっとりとした視線を送った。

それに耐えきれなくなったクロームが、上目遣いで私と目線を合わせる。

「…骸様が」

やっぱりそうか。

どうせそうだろうという予想はついていた。私をここへ連れてこいと骸のやつに指示されたに違いない。

さしずめ、私が危険な目に遭わないように一人にさせるなと言われたのだろう。