【RE!】fame ＃六道骸 (ページ26)

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家の前まで送ってもらったので、一応骸にお礼を言った。

「ありがとね。じゃあ」

「ええ、また。Buon sogno」

なにやら発音の良い言葉を残して(意味は分からなかった)、骸は私の前から去っていった。

なんだか今日はとんでもなく長い１日だったような気がする…。

ため息が出そうになったところをなんとか飲み込んで家の中に入ると、私の顔を見た葉子さんと和明さんはホッと胸をなでおろしたような表情を浮かべた。二人とも、私が非行に走って夜遊びに出かけたのだと思ったらしい。

心配しなくても私はこの人たちに迷惑をかける気はこれっぽっちもないし、なるべくならそんな心配もさせなくない。だからちゃんと事情を説明して、遅くなったことも謝った。

「帰りは、その…友達に送ってもらったから大丈夫」

「そう、ならよかった。お友達と遊ぶのが楽しい時期だもんね」

骸や犬たちの存在をどう言っていいか迷った結果“友達”と表現させてもらったけど、実際知り合って日も浅いし、第一私は友達を作る気もないし…。

色々考えながら口には出さず、夕飯やお風呂を済ませた私は自室のベッドの上に横になった。

シンとした部屋の中で、自分の唇を指先で触る。

「…好き、か」

目を閉じてあのオッドアイを思い浮かべながら、頭の中で骸の言葉を再生させる。

あの人は私のことが好きだと言っていた。

でも…それは違うと思う。

骸が好きなのは、おそらく記憶がなくなる前の私。

以前の私は骸たちと何かしらの交流があったらしい。それが事実だとしたら、やっぱりそういうことになる。

今の私のことが好きなんじゃない。

そう考えると、骸に対して申し訳ない気持ちになった。

私は記憶も感情もない空っぽな箱みたいな存在。

骸が好きな人は、もうここにはいない…。