先輩の思惑 ページ17
希佐side
結局、空気は晴れないまま稽古が終わった
Aさんは、言っていた通り舞台には一度も上がってこなかった
稽古中は、舞台から離れた客席に座って、私たちの稽古を眺めていたり、時々立ち上がっては通路を歩き、また別の座席に座りを繰り返していた
そうしてAさんが動くたび、先輩方は視界の隅に捉えるように目で追っていた
まるで、監視でもするように…
希佐「白田先輩、水持ってきました。」
美ツ騎「ん…ありがと」
頼まれていた水を手渡し、辺りをみればまだ多くの人が舞台上に残っていた
というより、いつも以上にハードな稽古だったから、部屋に戻る前に小休憩を挟んでいるのだろう
水分を取って少し休んだら、足早に舞台を後にしていた
Aさんはというと、まだ舞台から離れた客席に座っていた
根地先輩と何か話していたけど、一言二言やりとりをすると根地先輩だけが戻ってくる
Aさんが舞台に近づいてくる気配はない
希佐「…あの、白田先輩」
美ツ騎「気にすることじゃない…っていう方が無理か」
はーっとため息をついた白田先輩を見ると、彼の視線もAさんの方へ向いていた
美ツ騎「気になるんだろ…あの人のこと。でもあまり接触しないように言われてる。理由は言われたか？」
希佐「いえ。…ただなんとなく、気遣ってくれているのかなと…」
美ツ騎「…そうか」
希佐「あの、白田先輩は理由を知っているんですか？」
そう聞くと、白田先輩は一瞬視線を彷徨わせた
白田「守るため。そう、前にフミさんが言ってた」
希佐「守るため？」
白田「詳しいことはわからない。多分、あの人のことでフミさん達しか知らないことがあるんだろう。変に首を突っ込めば厄介なことになるかもしれない。だからお前も…」
希佐「…白田先輩？」
白田「いや、お前なら…もしかして…」
小さく呟いた後、白田先輩は考えを巡らすように黙り込んだ
邪魔をしてはいけないと思い、静かに待ってみたが、顔を上げた白田先輩からその続きを聞くことはなかった
白田「…あの人のことで何かあれば、フミさんかカイさんを頼れ。根地さんでもいい。僕から言えることは…ない」
それだけ言うと、白田先輩は舞台を後にした。
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甘味! - ひえっ設定とかいろいろ好きすぎる､､､応援してます！頑張って下さい！ (2021年6月20日 15時) (
レス) id: f8e0e8f1cf (このIDを非表示/違反報告)
イェ二 - ライラックさん» コメントありがとうございます。不定期のうえ ゆっくり更新ですが、楽しんでいただけると幸いです。 (2021年4月28日 19時) (レス) id: 7b39290272 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック - 面白いです。とっても面白いです。更新頑張ってください！ (2021年4月25日 18時) (レス) id: a6b9c04261 (このIDを非表示/違反報告)
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