The 82nd seat. ページ2
あれから数分してすぐに
目的地に着いた
『Aちゃーん、Aちゃーん』
呼んでもなかなか、起きてくれない…
「んー、まだ…もうちょっと…」
やっぱ疲れてるよね…仕方ないか…
『今、夕日が一番綺麗なんだけどな…』
別にそんなつもりで、言った訳じゃなかったけど
「はっ！！ごめんなさい。私寝ちゃってましたね」
つって、飛び起きた
『いや、全然いいんだけどさ。疲れてるのに連れ回してるの俺だし…起こさないでおこうと思ったんだけど、夕日がすげぇ綺麗だったから、見てほしくてさ。ちょっと降りようか』
ホントは全然いいわけない
夕日の写真撮って
待ち受けにしてもらうんだから！
まぁ、変えてとは言えないけど…
車を降りて海岸沿いをしばらく歩いていると
今！まさに！シャッターチャンス！！ってくらい
真っ赤な夕日が
少しずつ海の向こうに沈みはじめて
海に吸い込まれて行く感じ…
今、構図的に一番、いい感じじゃない？
って思っていたら
後ろから
＿カシャ＿
って音がした
とりあえず、目的は達成された
後は…運任せだな
こればかりはしょうがない…(笑)
少し散歩がてら歩いていたら
夕日に照らされて伸びた影が目に入った
そこに、ちょいちょい重ねようとする
もうひとつの影…
歩くペースを
早くしたり、遅くしたり
ちょっとイタズラすると
もうひとつの影もついてくる
可愛いなぁ
影ばっか、重ねようとしてないでさ
隣に来たらいいのに
『影ばっか追いかけてないで、隣においでよ 』
Aの右手をとって、再び歩き出した
もう一度見た
夕日に照らされて伸びた影は
二人分になったからかな…
さっきよりも、少し色を濃くして
ピッタリ重なっていた
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作者名：二葉(ふたば) | 作成日時：2019年1月15日 0時
