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聡side

わかってるよ!捨てられないし、健人くんたちが情が移らないように関わらなかったのも気付いてた。それに、引き渡す時一瞬泣きそうな顔になったのも知ってた。

でもっ悔しくて寂しくて言っちゃだめなこと思いっきり叫んで、自分でその言葉に急に不安になった。でも引くに引けなくて、そのまま怒鳴るしかなかった。

「聡、お前はあと。お前が言った言葉でどんだけマリが不安になってるかわかるか?行ってくるから部屋にいろ。」
怒鳴られたあと、肩捕まれて目を見つめられて言われてほんとにそのまま風磨くんの部屋に入っていった。

やっぱり。健人くんは俺のことよりマリのことが大事で好きなんだ。俺のことなんてどうでもいいんだ。マリは守られても俺はいつか捨てられるんだ。絶望感でいっぱいになって部屋で枕に顔押し付けて泣いてた。

「聡、大丈夫?」
「しょり?」
いつの間にか勝利がいて、声かけてくれた。
「マリ、抱き締められるのも拒否してたから長引くかも。健人くんが聡のとこいてやってくれって。」
「...健人くんはっマリの方が好きなんだもんっ」

「マリのことが心配なんだよ。好きって気持ちは全員同じ」
「でもっずっとマリばっかり」
「そんなことない。聡が子犬拾ってきたから健人くん、聡は頑張ってお世話してるけど大丈夫かなってずっと心配してた」

「聡が言ったことは風磨くんも、俺も、マリも全員が不安になることだったよ。」
「マリはいいじゃんっ2人もいてくれるんだからっ」
勝利が言ってることは全部正しかったし、理解もしてたけど認めたくなくてずっと屁理屈で言い返してた。

「ねぇ、俺に言ってくれない?さっきの言葉は嘘だって。思いもしてないって。俺、不安なんだ。」
勝利が急に俺の顔掴んで向けさせて言ってきた。その顔があまりにも真剣で、後悔して俺も嘘だって誰かに言って欲しかった。
「...嘘。ごめん。」
「聡も。聡も捨てられないよ。絶対。健人くんだもん。捨てられるわけないよ。」
「...ひっく!ごめっ」
「泣きな。後でちゃんと謝ろ。」
勝利がずっと隣で優しく背中を叩いてくれた。

「ごめん。遅くなった。勝利、ありがとな。」
健人くんの声が聞こえて顔あげたら勝利が不安そうに抱きついたからそのまま抱き締めてあげてる。いいな...。
「大丈夫。勝利、絶対に捨てない。いつも大好きだし、何があってもどんな時でも味方でいる。最後の最後まで見捨てない。側にいて、支えるし守るし助ける」

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作者名:ゆう | 作成日時:2022年2月10日 1時

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