四月の夜は。-12-

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...待って...待って...

自分。よく考えて！！

移動？...衣装....着替える前？どうしよ...焦ってなんも思い出せない

心臓が嫌な大きさで体の中で響いてる

どうしよ...どうしよ...


....っ、とりあえず、ぼんちゃん！


そう思ったわたしは小走りで楽屋へと戻ると奥で片付けをしてるぼんちゃんへと駆け寄った。


「ぼんちゃんっ！」

〈あ、おズズお帰り〜お疲
「どうしよっ！無くしたかも。」

焦って被せる様に言うと、

〈なになに？焦ってて近いけど？！〉


「...ピアス。」

〈...え？衣装変える時は？どうしたの？〉

「わたし楽屋戻る時まだしてた？」

〈あたし受け取ったりしてないからしてたはずよ？〉

「...じゃあいつだろ...落としたりしてないかな...」

〈...おズズ、お手洗いは？〉


「...見てくるっ！！」


...触った。確かに、鏡の前で...

急いでパウダールームへと向かって棚や床を見渡して、トイレの方も全部見渡して...


それでも..見つからない...


さっきより大きく響く嫌な胸の音が心臓を押し上げて口から出そうだ...

鏡に映る自分の顔が青ざめてるのがわかる

パニックになってしまってるのは自分でもよくわかる

落ち着かなきゃ絶対に見つからない事も...


少し震える手をグッと握って大きく深呼吸した。

そして水道で顔に水をバシャッと浴びせて

ここから戻った後の事を落ち着いて考えた...

楽屋に戻って...

すぐに次の衣装に着替えて...

ヘアも変わるからって...










.....！


思い出した


今度は駆け足で楽屋へと戻ると扉のすぐ側でぼんちゃんが待っていてくれた。

「あのワンピースは？！」

〈あのワンピース？？！〉

「そう、あのボタンダウンの。着替えの時借りたやつ！」

〈え！？あれ今さっきアシスタントに渡したキャリーの中だから今呼び戻すわよ。〉

「いいっ！あたしが行くから！地下でしょ？駐車場出ないで待っててもらって！」

そう言ってまた小走りで走って、だけどさっきからずーーーっと思ってはいたけど、このヒールっ！！

めっっっっちゃくちゃ足手纏い！本当走りづらい！


えーい！もういいっ！！！


エレベーターに乗り込む手前、横の壁際にヒールを脱ぎ捨てて丁度到着したエレベーターに裸足で乗り込んだ。


誰も居なくて良かった。笑


B1を押してドレスのスカートをグッと持ち上げて扉が開いた瞬間、さっきの数倍のスピードで走り出したわたしは側から見たら恐ろしいだろう...


誰にも見られてませんように。笑

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