四月の夜は。-12-

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〈...rtzuさん、到着しました。〉

伊藤ちゃんの声が耳に届いて、閉じていた瞼をゆっくりと開く。
窓から外を見れば見慣れた自宅の駐車場に到着していた。





「ん.....ありがと。一瞬で寝てた。」

〈いえいえ、こちらこそ去年はお世話になりました。今年も宜しくお願い致します。〉



.....去年


「...もしかして年明けた？」

〈あ。はい。ついさっき。〉

「...寝てたーーー。遅くなったら伊藤ちゃんとカウントダウンしようと思ってたのに。ごめんね、カウントダウンに運転させて。」

〈とんでもないですよ！笑〉



「では改めて。伊藤ちゃん。明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願いします。」

〈明けましておめでとうございます。はい、是非今年もいちばん近くでお仕事を支えさせて頂きたいです！〉

「ふふっ、じゃあ、ちょっとだけお休み貰います。」

〈短くて申し訳ありませんが、ゆっくりお休み下さい！〉





伊藤ちゃんに手を振って見送って

静かな駐車場にわたしの足音だけが響いてて

ケータイに視線を落とすと時計は
0:38を指していた。


世の中の人達はみんなでカウントダウンとかして

まだまだ大晦日からお正月へのお祭りみたいなものをきっと楽しんでるんだろうな...

毎年お正月だけは少しだけゆっくりできて

ほとんどを寝て過ごすんだけど

今年はそんな風にたくさん眠れるんだろうか...

ここ最近、伊藤ちゃんが居てくれる車移動や事務所のソファーだとやたら眠くなって眠れるのに

家のベッドだと寝てるのか寝てないのかわかんない...

そんなうちに朝が来て

家に居たくなくて少し早く伊藤ちゃんに迎えにきてもらったり...




「ただいま...。」


返事のない部屋

さっきまであんなにたくさんの人が居てくれたのに...

ギャップがありすぎて

余計に..寂しいな.....

それに...

...お腹..空いたな....



冷蔵庫を開いても期待できる様なものはない事はわかってるし

でもこれからひとりで何食べんの？

んー。

ケータイでデリバリーメニューを開いてにらめっこ

それと同時に届いてるLINEに返信したりして

マナは明日は休みだから明日には会える

今日がどんなに寂しくても明日はマナと一緒だから我慢するか...



あ。

そうだそうだ。

あいつには連絡しなきゃ。笑

今年はちょっと早いけどもう送っちゃおう。

だって今、本当にやる事ないんですもの。笑



【あけましておめでと。今年は早いでしょ？】



SHUTAまだ仕事してるかな？

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