四月の夜は。-12-

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「皆様こんばんは。...rtzuです。
まずは、この様な素晴らしい賞をありがとうございます。
わたしを今日まで支えて下さった方々、全ての方に感謝申し上げます。
この賞は、わたしが...こうして歌を歌わせて頂ける様になってから、ずっと...ずっと..雲の上にあったような存在のひとつでもあります。
わたしは歌う事が好きで、聴いてもらう事に喜びを感じて、自分の中にあるものは...音楽の中にあって...
そんな風に生きてきたわたしには歌わせてくれる場所や、聴いてくださる方々がいて下さるからわたしは生きてるって感じられます...。

辛い事も苦しい事も...泣く事さえも...
素晴らしかった...
嬉しい事も楽しい事も、たくさん笑えた日も...


今日は毎日やってきて、明日も...今日になります。
どんどん進んでいく日々でいろんなことを知らないうちに忘れていってしまうかも知れない...

...だけど...ありきたりだけど...

...色褪せない記憶...って...あると思うんです。


...わたしは今日がその日になりました。

今日この場でこの新曲を披露できる事をとても幸せに思います。


本日はありがとうございました。」




深く頭を下げると頭上に降ってくる拍手の音

わたしはゆっくりと顔を上げて一歩前に出て、スタンドマイクのスタンド部分に両手をかけた...

目を瞑る直前

ほんの少しだけ目線を動かした...

薄暗い会場には私が立つステージからの青い光がスモークの下からフワッと広がっていて

わたしが見つめた先のあなたは

落ちていく照明の中

わたしの好きなあの穏やかな顔でわたしを見つめてくれていた...




完全に暗くなった会場

わたしの足元は夜の海になった

そしてバックのヴィジョンには高く澄み切った空に輝く星が散らばって居る

海と空の境に立つわたしは

澄み切った様な落ち着いた気持ちで最初の1音を待った...







静かな会場に響く美しいピアノの音色...














...わたしはきっと平気


この曲があなたの耳に届いても


どんな伝わり方をしたとしても






それでも

それがわたしだから...






あなたが呼んでくれたわたしの名前...


わたしはその声を...響きを...忘れたくないの.....

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