甘い珈琲【QuizKnock短編集】 (ページ2)

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【ymmtside】意地悪ﾔﾏﾓﾄページ2

『よしくん、この動画本当に面白いからみて』

一人暮らしの僕の家に最近出来た彼女が遊びに来た。

部屋に入って早々、そんなことを言い彼女は僕の隣に座り携帯を渡す。

『再生ボタン押して』

物凄く嫌な予感がしてならない。

ヤケににやにやしてるし。

指示どおり、ボタンを押すと

「うわーーーーーーー！」

ひっくり返りそうになるくらい、突然現れた怖過ぎる画像に思わず絶叫してしまった。

画面いっぱいに写る血を流した女。

彼女は大声で笑い転げている。

『騙してごめん、友達向けに作ったんだけど取り敢えずよしくん驚くかどうか試してみたくて』

と、言いながらも笑いが途切れない彼女。

他人に毒味させるような扱いしやがって。

「心臓ばくばくだった！許さん！」

彼女の両肩を優しく押し倒した。

『なになになになに』

目を背ける彼女。

いきなりの急展開に動揺しているようだ。

実際僕もそうだし。

でも、少しだけ意地悪しよう。

「今後、こういう事したら身体で償ってもらうから」

臭すぎる彼氏ランキング上位にありそうなフレーズを言ってみる。

『今日はしてくれないってこと？』

物欲しそうな、あざとい顔にもっと虐めたくなる。

「してほしいの？」

彼女の頭をゆっくり撫でると段々と顔が紅くなっていくのが分かった。

『別にそういうことじゃない』

「じゃあいいんだね」

彼女からぱっと手を離し、遠のき背を向ける。

でもすぐさま

ギュッ

後ろから抱き締められる感触がした。

細い腕が僕の胸ら辺で組まれる。

僕の好きな匂いに包まれた。

『焦らさないで』

その一言にアクセルがかかる。

理性の糸が切れる音。

微笑みながら僕は振り向く。

意地悪するだけだったのにな。

既に太陽は傾き始めていた。