会合 ページ6
「つきました」
そうやって何度か扉を抜けていくと、不意に人に出会う。どうやらここは部屋のようだ。振り返ると、やはりというか、もう扉はなかった。
改めて部屋を見渡す。割と広い部屋だ。壁、床、天井に至るまで何か柔らかい布のようなもので保護されている。よく見ると、それは糸だった。なんとなく、嫌な気配がする。女王蜘蛛の糸、だろう。おそらく。
部屋の中には四人の人物がいる。よく似ている、緑の髪をした女の子が二人。目付きの鋭い男性、おそらく職員さんが一人。赤い目をした、あたし達と同い年くらいの綺麗な女の子が一人。
「おねーさん達、誰？」
緑の髪をした女の子の片方がこちらを警戒するみたいに睨む。ご丁寧にも、銃口をこちらへ向けて。
「落ち着いてよウタ。人を連れてくるってのは聞いてただろ？」
「ああ、そういやそっか。遅いから忘れてたぁ」
もう一人の緑の子……なぜかふよふよ浮かんでる子に諭され、銃口を下ろす。
「ああ、こんにちはA-121-B」
赤目の女の子が、静かな声で言う。綺麗な声だ。あまり感情が感じられないけれど、人形のそれみたいな、まったく生物感がないみたいなのではない。落ち着ける声だ。
「それじゃあ、僕はまた行きます。そのうち蜘蛛さんが戻ってきますから、詳しい説明は蜘蛛さんから聞いてください」
人形は言うなり、すぐ傍の扉から外へ出た。……あんな扉、あそこにあったかしら。部屋へ来た時にはなかったと思うけど。いつの間に？なんて、考えるのは野暮かしら。
それよりも。まずは情報が欲しい。あたしは目の前の人達に目を向けた。とりあえず、自己紹介をしよう。
「あの、あたしは淤加美華璃です。A-121-B-1、魔法少女って呼ばれてます」
「カチュア・ドラゴニアです。えっと……皆さんの事を聞いても良いですか？」
なぜか緑の子を見て、少し震えてるカチュア。けれど、ちゃんと名乗れてるし、多分大丈夫。
「あたしはウタだよ。そしてこっちがソロモン」
始めにそう返してくれたのは、緑の女の子。さっきはいきなり拳銃を向けられて驚いたけど、こうして見れば普通の女の子のようだった。
「正しくはA-070-Rですね。高い攻撃力と機動力を持つREDランク幻想体です」
赤目の女の子がそんな爆弾発言をした。
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