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第百六話 調 ページ11

いた。

 姉さんが、いた。

 緊張がとかれて、嬉しくて、僕は姉さんに駆け寄ろうとした。どうして帰ってこなかったのかとか、いろいろ聞きたかったし。

 けれど、僕にはそれができなかった。そこから動く事もできずに、ただ呆然としていた。姉さんの様子が、ひどくおかしかったから。近寄るには、あまりにも……恐ろしくて。

 ぶつぶつと何かを呟いている。聞こえはしないけど、口の動きで何となく分かった。

 呆然としていて……ふと、姉さんの近くに誰かがいる事に気がついた。男の人、だろうか?どこか見覚えのある……既視感のある青年。しかし、だとしてもどこで?

「調」

 緊張したように、美佐紀さんが言う。

「殺るよ、あいつ」

 その声に、青年が気づいたかのようにこちらを見た。ああ、やっぱり。どこかで見た顔だ。どこで見たのかは分からない。けど、見ている顔だ。

「ああ、お前……覚えているぞ。我を運んでくれたやつだろう?」

 ……思い出した。

 三年前、僕はある発病者を運んだ事があった。けどそいつは発病者じゃなくて、僕を殺そうとして……。

「よし、殺そうか」

 姉さんをあんなにしたのも、多分こいつだ。殺そう。姉さんはぶつふつと何かを呟きながら歩いて行く。だけど追跡は後だ。まずはこいつを殺す。絶対に殺す。

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ミクミキ(プロフ) - 完結しました〜 (2019年9月8日 20時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 更新します! (2019年9月8日 20時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 終わりましたですー (2019年9月2日 22時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 更新しますですー (2019年9月2日 21時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 終わりました! (2019年9月1日 22時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年6月23日 12時

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